AID治療情報開示法案たたき台 ―出自を知る権利―
2023年12月よりAID治療を再開しておりますが、やはり皆さまが気になっていることは法整備のことで、現在の状況などをよく聞かれることがあります。
昨年、議員連盟の総会では、たたき台の修正案が示されましたので、ここで少し内容をご紹介します。
先ずは、大本の出自を知る権利ですが、
成人した子どもからの要求があれば、提供者の身長、血液型、年齢を開示できるようにするとあります。氏名など個人の特定につながる情報は提供者の同意がある場合のみです。
また夫婦や提供者の氏名や住所、マイナンバーなどの情報を収集し、この情報は独立行政法人「国立成育医療研究センター」に集約し100年間保管し、提供者の同意がない場合でも、提供者の身長や血液型、年齢といった個人を特定しない情報は開示するとしています。
次に一連の流れとして、今まで1つの医療機関がおこなっていたことが分担されることになります。政府の許可を受けたあっせん機関(営利を目的としない)を通じて提供を受け、治療は認定医療機関に限定されます。
精子提供者は、満55歳未満の成人とされ、夫婦は提供者を選ぶことはできません。よってこのまま法整備が進むと親子での血液型のマッチングがなくなります。実施医療機関は政府から提供された精子を使って実施するだけのようです。帰化されている方が提供してくださった場合は、見た目にも変化が出てくるのではないのかと、あっせん機関の精子収集がどう進んでいくのかも今後気になるところです。
また、兄弟からの精子提供は、匿名性の保持の特例として、他に提供者が存在しない場合であって、十分な説明・カウンセリングが行われ、金銭等の対価の供与がなく、子の福祉や提供者に対する心理的な圧力の観点から問題がないと公的管理運営機関が認めたときに限り提供を認めるとあります。
提供が認められる対象者は、法律婚の夫婦のみで、当面は同性婚や事実上のカップルは対象外と、たたき台では発表されました。医療を受けられる対象の拡大を求める署名や意見書などが議員連盟に提出されている状態です。
治療内容は、現在おこなわれている第三者の精子を用いた人工授精に加え、第三者の精子と妻の卵子を用いた体外受精と認められました。しかし、法整備されるまでは第三者が関わる体外受精は自粛するようにとの要請がでています。
法整備が整った際、今までのガイドラインや営利目的での精子の授受や授受の斡旋などには、罰則を伴う法律による規制が課されます。
この医療により子を出産した者をその子の母とし、妻が夫の同意を得てこの医療により出産した子はその夫の子とされます。また精子提供者は、この医療により生まれた子の父とはされません。そしてこの医療により生まれた子は、近親婚とならないことの確認を求めることができます。
参考資料
●厚労省
精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書の概要
●日本産科婦人科学会
【特定生殖補助医療に関する法律案(仮称)(新規立法)】への要望
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