大阪の不妊治療専門クリニック / 御堂筋線「本町」駅すぐ

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用語集

アシステッドハッチング:AHA(孵化補助)
アシステッドハッチング(AHA:アハ)とは、生殖補助医療技術のひとつです。胚移植(ET)のさいに卵子透明帯の一部を開孔して着床率の向上をはかります。受精した胚は細胞分裂が進み、透明帯から脱出(ハッチング)して子宮内膜に着床します。透明帯は胚の体外培養や凍結融解、あるいは加齢によって硬化するといわれているため、この方法により卵の殻を少し破ったり薄くしたりして着床しやすくします。体外受精でグレードのいい胚を移植してもなかなか着床しない(着床障害)のような場合に行われます。
アンドロゲン(男性ホルモン)
アンドロゲンとは、男性ホルモンの総称で、男性が男性らしくあるために必要なホルモンです。性器の発育、骨格や筋肉の形成、性欲、精子形成などに深く関わっています。

異所性妊娠(子宮外妊娠)
本来、受精卵は子宮腔の粘膜に着床するのが正常ですが、子宮腔以外の場所に着床し、生育した状態のことを異所性妊娠(子宮外妊娠)といいます。受精卵の着床部位により卵管妊娠、卵巣妊娠、腹膜妊娠に分けられます。卵管内に炎症が起こって卵管の通過が悪くなったり、受精卵を子宮内に運ぶ機能が低下すると、受精卵が卵管内にとどまってしまうため卵管妊娠になると考えられています。ただし、子宮外妊娠のほとんどは原因がはっきりしないことが多いです。
遺伝性疾患
遺伝子の異常が原因になって起きる疾患の総称。
インスリン抵抗性
インスリンは、血液中の糖を細胞内に取り込みエネルギーに変える働きをしています。インスリン抵抗性とは、通常の人と比べてインスリンの作用が弱いことを言います。そこでそれに打ち勝つように膵臓からさらにインスリンが過剰に分泌される状態を高インスリン血症といいます。
陰嚢(いんのう)
陰嚢とは、精巣を包む皮膚に囲まれた男性外性器のことです。女性では大陰唇にあたります。男性不妊の身体検査では陰茎、陰嚢、精巣上体、精管などを視診、触診していきます。陰嚢の触診では、精巣の位置異常の有無、大きさ、硬さを調べます。また精索静脈瘤の状態を調べるのに陰嚢皮膚温度測定があります。
インフォームドコンセント
インフォームドコンセントは、医師による一方的な治療ではなく「説明の上の同意」という意味で使われます。医師は治療をしていく上で患者に説明の義務があり、それをもとに医師との信頼関係を築いた上での治療を続けていくことが望ましいとされます。不妊治療では知らず知らずのうちにいろいろな治療をして、そのため薬による副作用が出る場合もあります。インフォームドコンセントは両者の同意の上で治療をしていくという意味です。

エストラジオール(E2)
エストラジオール(E2:イーツー)とは、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)のことです。子宮内膜を肥厚させたり、子宮頚管粘液を分泌させて通りをよくするなどの作用があります。卵胞ホルモンにはエストロン、エストラジオール、エストリオールなどがありますが、エストラジオールが最も生理活性が高いホルモンです。排卵前にエストラジオールの数値を調べる事で、おおよその排卵日の予想がつきます。
エストロゲン(卵胞ホルモン)
女性ホルモンの総称で、女性が女性らしくあるために必要なホルモンです。性器の発育、卵子形成などに深く関わっています。

黄体
黄体とは、成熟した卵子が排卵した後に発達する卵巣内の一時的な内分泌構造のことです。排卵後の卵胞が変化して形成され、ステロイドホルモンのエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。このプロゲステロンは、子宮内膜を肥厚させて受精卵が着床しやすい状態にします。
黄体化未破壊卵胞(LUF)
黄体化未破壊卵胞(LUF:ルフ)とは、基礎体温で体温が上昇しているのにもかかわらず、実際は卵胞が破裂していない状態をいいます。これは、卵子が残ったまま卵胞が黄体化してしまい、黄体ホルモンが分泌されることで基礎体温が高温期を示します。排卵が起こっていないので妊娠することはありません。原因不明不妊(機能性不妊)の一因と考えられています。黄体化無排卵卵胞症候群(LUFS:ルフス)ともいいます。
黄体期
黄体期とは、黄体が形成される時期のことで、排卵後の高温期を指します。排卵後の卵胞が変化して、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌することで、子宮内膜は分泌期内膜という状態になります。排卵が起こらなければ黄体は形成されないので、黄体期は見られません。通常は月経周期の長さに関係なく、黄体期が約14日前後続くと生理が来ます。妊娠すると高温状態が持続します。 
黄体機能不全
黄体が十分に機能せず、黄体から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンの黄体ホルモンが不足し、着床のための子宮内膜の状態が整わないことを黄体機能不全といいます。黄体期に分泌されるプロゲステロンが少量の場合にこのような病状になると考えられます。黄体機能不全の治療には、卵胞期にクロミフェン(クロミッドなど)を服用する方法と、黄体期に黄体ホルモン剤(デュファストンなど)を投与する方法、またHCGで黄体を刺激する方法があります。排卵後、正常より短い日数で子宮内膜が維持できなくなるため、頻発月経や不正出血、着床困難による不妊の原因につながります。
黄体ホルモン(プロゲステロン)
黄体ホルモン(プロゲステロン)とは、女性ホルモンの一つで、排卵後の卵胞が黄体化することによって分泌されます。妊娠前は子宮内膜を肥厚させることで受精卵の着床を円滑にし、妊娠中は排卵の抑制、子宮肥大・子宮収縮の抑制などの妊娠の維持に深くかかわります。また、妊娠後は胎児と子宮をつなげる胎盤からも分泌されます。卵巣から分泌されるホルモンには、ステロイドホルモンと呼ばれるプロゲステロンとエストロゲンがあり、これらの作用により月経周期が成り立ちます。
オリフェン
オリフェンとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名です。視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。オリフェンの他にもクロミッド、セロフェン、フェミロンなどの名前の薬があり、このような経口製の排卵誘発剤の総合的な名前をクロミフェン製剤といいます。

カウフマン療法
カウフマン療法とは、不足しているホルモンを補い、規則的な月経周期を取り戻すのが目的の治療法になります。生理不順や無月経の人に用いる治療法です。また、卵巣機能不全の長期化によるホルモン欠落症状の改善や、思春期では第2次性徴の発現も促します。カウフマン療法自体には排卵誘発作用はありませんが、卵巣機能を休ませることで、3ヶ月〜6ヶ月間治療した後、正常な排卵が起こる事が期待できます。
下垂体
下垂体とは、多くのホルモンを分泌する内分泌器官のことです。指先くらいの大きさで、脳の裏側に脳の一部がぶら下がっているように見えることからこの名前が付いています。月経周期が始まると、脳の司令塔である視床下部が下垂体に働きかけて、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌が起こり、そして次にFSHとLHが卵巣に働きかけて、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が始まります。視床下部から下垂体、そして卵巣系へと働きかけます。下垂体はFSHやLHの分泌のための大切な働きをするところです。
過排卵刺激
過排卵刺激とは、強力な排卵誘発剤を使って卵子をたくさん成熟させる方法です。体外受精のときに卵子をたくさん採取したい場合に使われます。また、原因不明の不妊治療にも効果があると言われています。過排卵刺激は、もっとも妊娠率の上がる治療法ですが、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)や多胎妊娠などの副作用があることからリスクを伴う治療法といえます。
カンジダ膣炎
カンジダ膣炎とは、カンジダ真菌というカビが異常に増えることによって起きます。性交経験のない人でも起きる病気の一つです。パートナーから感染することもあり、典型的な症状としては、かゆみと白い酒かすのようなおりものが増えます。放っておくと外陰部まで炎症が起きることもあります。カンジダ自体は悪い働きをするものではありませんが、抗生物質服用後、妊娠、病気や疲労などで抵抗力が弱まると繁殖して炎症を起こします。カンジダ膣炎は外用薬や膣座薬で治療をすれば簡単に治ります。

奇形精子症
奇形精子症とは、正常形態精子が4%未満の場合を言います。1999年までは30%未満の場合を奇形精子症としていましたが、2010年にWHOより新しい基準値が発表され、だいぶ緩い基準値になりました。基準値を満たしているからといって実際の状況が変わるわけではありません。奇形は頭部が最も多く、次いで中間部、尾部の順番になります。奇形精子症は妊娠に適さないとされています。
基礎体温(BBT)
基礎体温(BBT)とは、女性が毎朝起きた時に、安静な状態で計測した体温のことです。排卵があれば、低温層からこれを境として高温相に移行します。これを2相性のパターンといいます。不妊症の検査や避妊など、いろいろな目的に用いられます。
偽妊娠療法
偽妊娠療法とは、人工的に妊娠している状態をつくり、月経をなくす方法です。主に子宮内膜症、子宮発育不全、卵巣機能不全、機能性出血、月経困難症、子宮内膜症などの治療に用いられます。子宮内膜症の場合、毎月の月経が症状を悪化させる一つの原因となっているため、偽妊娠療法で妊娠している時と同様に月経が起こらない状態を作りだします。この時、エストロゲンとプロゲステロンの混合剤(ピル)を飲み続けることで、生理痛や排便痛などの痛みを抑える効果を期待します。しかし、偽妊娠療法は病巣の活動を抑制するもので、根治するものではありません。また、偽妊娠療法を長期にわたって続けることで副作用を伴うこともあります。そこで現在では、偽閉経療法という閉経期のホルモンレベルを薬で誘導する方法が一般的な治療法となっています。
希発月経
稀発月経とは、月経周期日数25~35日の正常範囲をはずれて、月経周期が39日以上と長く、頻度が異常に少ないことを言います。その逆に、月経周期が24日以下の短いことを頻発月経といい、両者ともに月経異常とされます。また、今までに一度でも月経があったのに、その後に3ヶ月(90日)以上も生理が来ないことを続発性無月経と呼ぶこともあります。いずれにせよ、頻発月経、稀発月経、続発性無月経ともに無排卵のことが多く、不妊の原因となります。
ギフト(GIFT)
ギフト(GIFT)とは、配偶子卵管内移植ともいいます。体外で卵子と精子を混ぜ合わせ、受精する前の状態で卵管の中に戻します。卵子と精子が自然な環境に近い卵管内で受精し、発育胚となるため、高い成功率が報告されています。ギフトは腹腔鏡下で行なわれることが多く、体内で受精します。 
偽閉経療法
偽閉経療法とは、ホルモン剤を投与して下垂体ホルモン(FSH、LH)を抑制し、人為的に閉経した状態を作る方法です。主に子宮内膜症の治療法として用いられます。閉経状態にすれば排卵も月経も止まるため、 月経痛は劇的に改善して子宮内膜症の増殖も止まり、病巣が小さくなります。GnRHアゴニストというホルモン剤を使った点鼻スプレー剤のスプレキュア、ナサニールなどを数か月に渡り連続で使用することで、脳下垂体に直接作用させ、FSHやLHの分泌を抑えることが出来ます。ただし、逆にのぼせなどの低エストロゲン症状がでることもあるので注意が必要です。またその他、子宮筋腫の治療や体外受精の際に自然に排卵しないようにするためにも用いられます。
逆行性射精
逆行性射精とは、精液が外に射精できないで、逆方向の膀胱に流れこんでしまう状態をいいます。正常であれば射精時に膀胱は閉じているはずですが、膀胱の一部(膀胱頸部)が開いたままになり、精液が膀胱に逆流します。一部の精子が膀胱に逆流する不完全逆行性射精と、全ての精液が逆流する完全逆行性射精とがあります。逆行性射精の原因として、糖尿病、脊髄の損傷、特定の薬の副作用、外科的手術などがあげられ、最も前立腺の手術を受けた人がなりやすいと言われています。また、原因不明の場合も多くあります。逆行性射精でもオルガスムは得られますが、陰茎から射出される精液量が減ったり、まったく射出されない場合は、不妊の原因になることもあります。逆行性射精の治療は、イミプラミン(トフラニール)を使用するか、膀胱内の精子を回収して人工授精、もしくは体外受精、顕微授精を行ないます。

クラミジア感染症
クラミジア感染症とは、クラミジア・トラコマチスという細菌による感染症で、日本で最も多い性行為感染症(STD)です。クラミジア感染症はその症状がほとんどなく、検査するまで気づかないこともあります。卵管に感染すると、卵管が細くなったり炎症や癒着が起きたりする可能性があります。また、不妊症や子宮外妊娠になる確率が増える要因となります。さらに、分娩時に感染している場合、産道を通過するときに新生児に感染することがあります。女性では子宮頸管炎、卵管炎、卵管周囲炎などを、男性では尿道炎、精巣上体炎などを発症します。近年ではとくに若い女性のかかる率が増加しており、性行為の若年化、複数の性的パートナー、避妊手段の有無などがクラミジア感染症のリスク要因としてあげられます。
グルココルチコイド
グルココルチコイドとは、副腎皮質束状帯の細胞から分泌されるステロイドホルモンのことです。肝臓での糖新生促進作用により、血糖値を上昇させます。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、副腎性アンドロゲン(男性ホルモン)を抑制する目的で、グルココルチコイドが使われるときがあります。 外傷、感染、リウマチ等による組織の炎症反応や高アンドロゲン血症時の排卵の回復、多毛や肥満などの治療としても効果があるとされています。
クロミッド
クロミッドとは、卵を成熟させるための薬です。視床下部の脳下垂体に働きかけ、性腺刺激ホルモンの分泌を促進します。それにより、卵胞は成熟して排卵します。よって、これを排卵誘発剤と呼びます。クロミッドの他にも、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬がありますが、これらはどれも同様の効果を持ちます。 排卵誘発剤クロミフェンの中で最も処方されているのがクロミッドです。
クロミフェン
経口製の排卵誘発剤の総合的な名前をクロミフェン製剤といいます。

頚管粘液(CM)
頚管粘液(CM)とは、子宮体部と膣をつなげる「子宮頚管」を覆っている粘液のことです。精子の移動を助ける役目があります。通常は粘りがありますが、排卵日付近になると、女性ホルモンのエストロゲンによって頚管粘液の分泌量が増えサラサラになります。頸管粘液が少なすぎたり異常があると、精子が子宮に進入できなくなって妊娠しにくい状態となります。また精子と頚管粘液には相性があり、精子の行動を止めてしまうケースもあります。これを抗精子抗体と言います。クロミッドなどのクロミフェンの排卵誘発剤の副作用で、頚管粘液が少なくなることがあります。 
頸管粘液検査
頸管粘液検査は、排卵2-3日前に受診し、頸管粘液を内診時採取する検査です。 採取した粘液の量や牽糸度、シダ状結晶の有無を調べます。この時期の頸管粘液の量は0.3〜0.4mlほど、牽糸性が5-10センチ程度、乾燥させるとシダの葉のような結晶がしっかりできると正常です。 エストロゲンの分泌量が少ないと量が少なかったり、牽糸性が低下したりします。 クロミッドを長期使用すると、この頸管粘液の性状が低下するということもあります。
経口避妊薬(ピル)
経口避妊薬とは、一般にピルと呼ばれており、女性が避妊の目的で服用する薬剤です。女性ホルモンと黄体ホルモンが含まれます。従来は女性ホルモンの量が多く、血栓症などの副作用が認められました。しかし、最近では次第に量を減らして、かつ避妊効果が確実な合剤が開発され、エストロゲン量が50µg未満の低用量ピルが用いられています。さらにステロイドホルモン量が少ない低用量ピルも開発され、副作用は大幅に軽減されてきているのが現状です。
経膣超音波
経膣超音波では、超音波検査用プローブに使い捨てのキャップをかぶせて膣内に挿入し、膣内から超音波検査をします。子宮や卵巣に異常がないかを調べるほか、卵胞の数や大きさを確認したり、子宮内膜の厚さや画像パターンを観察できます。卵巣内の卵胞から排卵のタイミングの診断や、体外受精をはじめとする排卵誘発の診断にも欠かせません。また、不妊治療で通院の際には必ず行なわれる検査です。経膣超音波検査は、排尿した後でも検査が可能です。妊娠5~6週目ぐらいからは、この検査で子宮内に胎芽(受精卵が着床して胎児になろうとしている状態)が入った胎嚢という小さな袋や、胎児の心拍を確認することができます。しかし、超音波が届く範囲が限られているので、膣から遠くなるほど観察しづらくなるという欠点があります。
ゲスターゲン療法
"ゲスターゲン療法とは、黄体ホルモンの分泌が悪く、自然に月経が来ない人に対して黄体ホルモンを服用する治療法です。無排卵による無月経や稀発月経などに用います。月経周期の後半に相当する時期にゲスターゲン剤(黄体ホルモン)を服用することによって、その後数日の間に人為的に月経を起こさせます。本来、黄体ホルモンは排卵後に卵巣から分泌されるホルモンで、子宮内膜を分泌期に誘導します。妊娠せずに黄体ホルモンの分泌が終了すると月経が起きます。 ゲスターゲン療法には、注射法と経口投与法とがあります。一般的には経口のゲスターゲン剤を処方されることが多いようです。ゲスターゲン剤(プロベラ、デュファストン、ルトラールなど)を5~7日に連続で服用し、消退出血が起これば、以降21~23日目から同じようにゲスターゲン剤を5~7日に連続で服用していきます。ゲスターゲン療法により定期的に消退出血を起こすことで、通常と同じような月経サイクルを作り出します。"
月経困難症
月経困難症とは、月経時に日常生活に支障が生じるほどの病的症状をいいます。下腹痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、いらいら、下痢および憂うつなど多彩な症状がみられます。無排卵性月経には通常みられません。月経困難症は、機能性(原発性)月経困難症と器質性(続発性)月経困難症の2つの原因に分類することができます。機能性(原発性)月経困難症は、月経困難症の大半を占めており、病気などの身体的な原因が存在しないのにもかかわらず症状が出るタイプです。 器質性(続発性)月経困難症は、月経困難症の中では少数ですが、直接的な原因となるような器質的な病気が存在するタイプです。 器質性(続発性)月経困難症の原因は、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症など、子宮関連の病気が中心です。
月経周期
月経がはじまった日から次の月経がはじまる前日までを月経周期(生理周期)と呼びます。月経周期は25~38日が正常です。
原因不明不妊
通常の不妊検査で異常が見当たらない場合を原因不明不妊といいます。不妊症患者の約1~2割がこの原因不明不妊で、腹腔鏡検査などの精密検査をすると、不妊の原因が見つかることもあります。また、原因不明不妊は機能性不妊とも言われ、この中には今後不妊の病態とその診断法の研究が進歩すれば原因が明らかになるものも含まれています。
顕微授精(ICSI)
顕微授精(ICSI)とは、別名「卵細胞質内精子注入法」とも言われ、体外受精の方法の一つです。顕微鏡下で卵の細胞の中に極細(直径6~8μm)のガラス管で直接精子を注入し、精子と卵子を受精させます。特に精子に問題がある場合(高度の乏精子症や高度の精子無力症)に選択される治療法です。男性側の原因にかぎらず、女性側に抗精子抗体がある場合や、透明帯が厚かったり硬かったりして精子が入って行きにくい卵子でも受精することができます。また、今まで体外受精でも妊娠が難しかったカップルへの治療方法として、現在では一般の体外受精(IVF-ET)とほぼ同数で実施されています。

抗精子抗体
抗精子抗体とは、女性の体が精子にアレルギー反応を起こしてしまうことです。精子と自己抗体が結びつくと、精子の受精能力を低下させたり、運動能力を阻害したりします。運動精子の細胞表面の抗原と反応する抗体が不妊と関連が深いといわれており、これらの抗体のすべてが不妊と関連があるわけではありません。主に子宮頸管粘液に発生し、子宮腔、卵管内、卵胞液内にも出現します。抗精子抗体は受精の過程までが問題となるため、体外受精(IVF)での治療が可能です。
高アンドロゲン血症
アンドロゲンとは、男性ホルモンのことです。女性の体内でアンドロゲンが必要以上に産生されてしまう疾患を高アンドロゲン血症といいます。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)で伴うことが多い症状です。アンドロゲンには副腎皮質から分泌されるものと卵巣から分泌されるものがあり、どちらの過剰分泌であっても排卵障害の原因となります。また、多毛の原因にもなります。
高プロラクチン血症
プロラクチンとは、下垂体前葉から分泌されるホルモンで、成長ホルモンと類似した構造を持ちます。乳腺を刺激して乳汁を分泌させるように働くもので、プロラクチンの分泌が亢進すると、乳汁分泌、無排卵月経などを起こし、高プロラクチン血症と呼ばれます。月経不順になったり不妊の原因になることもあります。また、薬によって血中プロラクチン値が高値を示すこともあります。
抗リン脂質抗体
抗リン脂質抗体は、細胞膜の構成成分であるリン脂質に対して自分で自分を攻撃する抗体です。自己抗体ができることによって、全身の血液が固まりやすくなり、動脈塞栓・静脈塞栓を繰り返します。血栓症や習慣流産、不育症などの原因となり、抗リン脂質抗体が着床時に絨毛細胞に障害を及ぼして、着床障害の原因となることが指摘されています。抗リン脂質抗体は全身性の自己免疫に分類され、同じような自己免疫疾患では全身性エリテマトーデス(SLE)などがあります。
骨盤内炎症性疾患(PID)
骨盤内炎症性疾患(PID)とは、クラミジアや淋菌などの微生物により発生する性行為感染症 (STD)です。骨盤腹膜炎ともいわれます。
ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)
ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)とは、性腺の発育促進や機能調整などの働きを持つ糖たんぱく質ホルモンです。下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)と、胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の3種類があります。視床下部から下垂体に働きかけることで性腺刺激ホルモンが分泌され、それが卵巣を刺激して、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が高まることで排卵が起こります。ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、妊娠によって胎盤から産生され、妊娠の維持に不可欠なホルモンです。
ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)
ゴナドトロピン療法とは、排卵前の卵胞期にhMG注射をすることで卵胞を育て、卵胞が大きくなったらhCG注射をして卵を排卵させます。hMGは閉経後の女性の尿から作られる性腺刺激ホルモンのことで、hCGは妊娠時に子宮内に形成される胎盤から抽出された性腺刺激ホルモンのことです。排卵障害、第2度無月経を対象とした強力な排卵誘発法になります。排卵誘発をするには経口のクロミフェン療法もありますが、うまく効果が出ない場合や、反応はあっても妊娠しない場合にhMG-hCG療法を選びます。副作用には、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と多胎妊娠があげられ、前者の発症頻度は10%~20%程度、後者は20%程度といわれています。

細胞分裂
細胞分裂とは、1個の細胞が2個以上の細胞に分裂する現象をいいます。はじめに核分裂が起こり、つづいて細胞質分裂によって完了します。
採卵
採卵とは、卵巣内から卵子を取り出すことです。経膣超音波を使い、モニターしながら膣壁から卵巣に針を刺して、排卵前の卵胞から卵細胞と卵胞液をいっしょに吸引していきます。体外受精(IVF)を行なう際に事前に採卵を行います。時間的にはおおよそ10分程度です。通常は静脈麻酔で行いますが、採卵個数が少ない時は麻酔なしで行えます。採卵後は約2~3時間の安静の後、ご自宅にお帰り頂くことが可能です。

磁気共鳴画像検査(MRI)
磁気共鳴画像検査とは、MRI検査のことです。磁石と電磁波を使って体を断面図のように撮影していきます。X線を使わないので被爆の心配がありません。不妊検査では、子宮腔の異常(子宮奇形、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど)が疑われるときにMRI検査をする場合があります。
子宮
子宮は、女性の骨盤のほぼ中央に位置する臓器です。受精卵を保護・発育させる働きをもちます。膀胱と直腸の間に位置しており、鶏卵ほどの大きさで、洋梨を逆さにしたような形です。
子宮外妊娠(異所性妊娠)
本来、受精卵は子宮腔の粘膜に着床するのが正常ですが、子宮腔以外の場所に着床し、生育した状態のことを子宮外妊娠(異所性妊娠)といいます。受精卵の着床部位により卵管妊娠、卵巣妊娠、腹膜妊娠に分けられます。卵管内に炎症が起こって卵管の通過が悪くなったり、受精卵を子宮内に運ぶ機能が低下すると、受精卵が卵管内にとどまってしまうため卵管妊娠になると考えられています。ただし、子宮外妊娠のほとんどは原因がはっきりしないことが多いです。
子宮奇形
子宮の形が本来と異なるものを子宮奇形といいます。本来、子宮は胎児期の早い段階でミューラー管(子宮のもととなる器官)が左右から癒合して作られます。しかし、この過程の途中で止まってしまうと、子宮奇形が起こります。どのような形をしているかで、「単角子宮」「弓状子宮」「中隔子宮」「双角子宮」「重複子宮」「副角子宮」といった分類がなされます。
子宮鏡
子宮鏡検査とは、内視鏡を膣から子宮腔に直接入れて子宮内腔の様子を調べる検査です。子宮卵管造影検査や経膣超音波検査で子宮腔に異常が疑われるときに行います。内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、粘膜下筋腫、子宮中隔、子宮腔癒着症、子宮内異物、子宮内膜癌などが分かります。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の筋組織から発生する良性の腫瘍になります。筋腫自体が生命を脅かすものではありませんが、女性ホルモンが関係していると考えられており、放っておくと筋腫は大きくなります。ただし、閉経後には逆に小さくなります。子宮に複数個できることが多く、数や大きさはさまざまです。大きさやできた場所によって症状が異なりますが、月経量が多くなる場合や、不妊の原因となります。
子宮腔
子宮腔とは、子宮内部の空洞になった部分のことです。子宮腔にある子宮内膜が厚くなることによって、受精卵が着床することが可能となり、妊娠するとここで赤ちゃんが育ちます。
子宮頸管
子宮頸管とは、膣と子宮体部をつなぐ管のことです。子宮の下部3分の1ほどのところに位置します。直径1~2mm、長さは2~3cmほどの管になります。この部分の閉じる力が機能的に弱いと頚管無力症とよばれ、妊娠中期に流産することが多いとされています。
子宮頸管炎
子宮頸管炎とは、子宮の下部にある頸管の粘膜が病原菌に感染し、炎症が起きている状態を言います。性交後に腟から病原体が子宮頸管まで上がってくることで感染して起こるものが多く、主な病原体はクラミジアや淋菌などの細菌です。子宮頸管は腟を介して外界と直接通じていることや、分娩や人工妊娠中絶時に頸管損傷を生じやすいこと、また感染に比較的弱い子宮腟部びらんが頸管の入り口に存在することなどから、腟と同様に女性性器の中でもっとも感染を受けやすいところになります。症状としては、いつもと違ったおりものが増えることが挙げられます。子宮頸管炎以外に、尿道炎や子宮内膜炎、骨盤腹膜炎を併発している場合は、排尿痛、下腹痛、発熱なども現れます。治療は、炎症を起こしている原因菌を突きとめ、症状に応じて抗菌薬の内服、点滴、腟内投与を行います。
子宮頸がん
子宮頸がんとは、子宮頸部や頸管の上皮から発生するがんです。子宮がんのひとつで、これとは別に子宮の内側にある子宮内膜から発生したがんを子宮内膜がんといいます。
子宮腺筋症
子宮内膜によく似た組織が子宮の筋層内にできてしまう症状のことを、子宮腺筋症といいます。子宮以外の場所に組織ができる子宮内膜症とは違い、子宮腺筋症は子宮にできます。子宮全体が大きく固くなっていき、子宮筋腫や子宮内膜症と合併していることが多い病気です。月経が多くなったり、月経痛がひどくなったりします。
子宮内膜
子宮内膜とは、子宮の空洞部分の内側の粘膜です。もともとはすごく薄い膜ですが、思春期より厚くなりだし、卵巣から卵胞ホルモンが分泌され始めると、その周期の間で月経期、卵胞期、黄体期と厚みが変化していき、月経がある間はそれを繰り返します。最も厚くなるのは排卵の頃で、約10mmにもなります。受精卵が着床するための場所であるため、この厚みのことを赤ちゃんが育ちやすいふかふかのベッドと表現することもあります。妊娠しなかった場合は、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちます。これが月経です。
子宮内膜がん
子宮内膜がんとは、子宮の内側にある子宮内膜から発生するがんです。子宮体がんとも呼ばれます。子宮がんのひとつで、これとは別に子宮頸部や頸管の上皮から発生したがんを子宮頸がんといいます。
子宮内膜症
本来、子宮内膜は子宮の内側にしか存在しません。しかし、何らかの原因で卵巣や腹膜などの子宮以外の場所で増殖、剥離を繰り返す症状を子宮内膜症といいます。正常な場合、不必要になった子宮内膜は剥がれ落ち、月経血として腟から体の外に流れ出ていきますが、子宮内膜症のように、子宮以外の場所で厚くなった子宮内膜は腹腔内にとどまり、炎症や痛み、癒着の原因になります。このとき、卵巣にできたものを卵巣チョコレート嚢胞とよびます。子宮内膜症は不妊の原因にもなります。
子宮内膜増殖症
子宮内膜増殖症とは、子宮内膜が過剰に増殖することで異常に厚みを増し、内膜腺の形態異常を起こす疾患です。エストロゲン(卵胞ホルモン)が子宮内膜へ長期間持続的に作用することで引き起こされます。その結果、月経の量が多くなったり、月経に混じって出てくる内膜が異常に多くなったりします。場合によっては、生理痛の悪化や不正出血を起こすようにもなります。出血が多くなると貧血が起こることもあるため注意が必要です。子宮内膜増殖症は子宮内膜がんの前駆状態であるとされています。
子宮内膜日付診
子宮内膜日付診とは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の状態を調べる検査です。黄体ホルモンの内膜への影響を予測するために、排卵後6~7日目ごろに行います。耳かきのような小くて細い金属の棒を子宮内に挿入し、子宮内膜の一部を採取して、顕微鏡で黄体ホルモンの状態を調べます。古くから行なわれている検査ですが、その正確性が低いことから、近年では黄体期に行なうホルモン検査(血液検査)が一般的です。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の粘膜から発育したポリープのことです。大きく長くなると子宮口の外まで出てくることがあります。症状としては、月経の出血量が多くなったり、貧血になったりすることがあるのが特徴です。不妊の原因となる場合もあります。原因は、炎症や分娩、流産などのほか、卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響からできると言われています。子宮内膜ポリープはがんとは異なり、良性の腫瘍です。しかし、ごく稀に悪性のことがあります。大きさは、小さいもので1cm以下から、大きいものでは数cmを超える場合もあります。治療でポリープを摘出しても再発することがあります。
子宮内膜癒着
子宮内膜癒着とは、子宮内膜の前壁と後壁が癒着している状態のことです。月経量が減ったり、不妊の原因になります。人工妊娠中絶術を数回にわたって行うと、子宮内膜癒着がおこることがあります。
子宮卵管造影(HSG)
子宮卵管造影(HSG)とは、レントゲン室で行う不妊症の基本的な検査のひとつです。子宮の入り口から子宮、卵管へと造影剤を流し入れ、レントゲン写真を撮影し、子宮の形や卵管の通過性、卵管周辺に異常がないかを調べます。
シクロフェニル
シクロフェニルとは、排卵誘発剤のセキソビットの一般名を指します。 卵を成熟させるための薬です。視床下部や脳下垂体に働きかけ、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)と性腺刺激ホルモンの分泌を促進します。それにより、卵胞は成熟して排卵します。これを排卵誘発剤と呼びます。同じ効果をもつものにクロミッドがありますが、セキソビットはこれよりもマイルドな薬になります。クロミッドに比べ排卵率は少し落ちるものの、頚管粘液の減少や子宮内膜が薄くなることの副作用が起こりにくくなります。
視床下部
視床下部は脳の中央に位置しており、間脳の一部になります。人間のあらゆる器官の働きや、ホルモンバランスを調節するところです。女性の場合、排卵と密接にかかわっています。まず、視床下部から下垂体に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されます。次に、GnRHの刺激を受けた下垂体からFSHとLHが分泌されます。そしてFSHとLHの刺激を受けて、卵胞が発育し排卵が起こります。
自然妊娠
自然妊娠とは、排卵誘発や人工授精などの医学的治療なしで妊娠することです。
シダ状結晶
排卵期に子宮の頚管粘液を採取し、スライドグラス上で引き伸ばし乾燥させると、シダ状の結晶が顕微鏡下に観察されます。これをシダ状結晶といい、女性ホルモンのレベルを反映して長く大きくなります。
射精不全
射精不全とは、性機能障害のうち、勃起には大きな問題がないのにもかかわらず、正常な射精を行えない症状のことを言います。男性不妊症のひとつです。早漏や遅漏、膣内射精障害もこの射精不全に含まれます。
習慣性流産
3回以上続けて流産する場合を習慣性流産と言います。妊娠しても胎児が育たない不育症のひとつです。子宮形態異常、内分泌異常、感染症、染色体異常、血液凝固因子異常、自己抗体異常などが引き金となって流産が繰り返されている可能性があります。それぞれに応じた検査をして原因を探り、適切な治療を行うことによって、妊娠の確率は上がります。あきらめずに、習慣性流産の検査・治療をすることをお勧めします。
周産期医療
周産期とは、妊娠22週から生後満7日未満までの期間のことです。周産期は母体・胎児・新生児にとって大切な時期で、それらのいのちに関わる事態が発生する可能性があります。周産期を含めた前後の期間における医療を周産期医療といい、緊急の事態に備えて産科や小児科での一貫した体制が必要とされています。
受精
受精とは、卵巣から排卵された卵子と精巣から射精された精子が出会って融合することです。受精した卵子を受精卵と言います。
受精卵
受精卵とは、卵管の子宮から遠い側の卵管膨大部で精子と卵子が出会って融合したもののことを言います。胚とも呼びます。受精卵は細胞分裂を繰り返し、子宮に向かって卵管内を移動していきます。この受精卵が子宮内膜に着床して、はじめて妊娠となります。
主席卵胞
月経が始まるころになると、脳の下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されるようになり、その刺激を受けて卵巣内の卵胞が排卵に向けて成長していきます。その中でも、一番成熟した大きな卵胞を主席卵胞と言います。主席卵胞は自らエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンを分泌してFSHを抑制し、他の卵胞の発育を妨げます。そして準備が整ったころに、この主席卵胞の一個だけが卵巣を突き破り、外に飛び出します。これが排卵です。このために、ヒトでは多胎妊娠がおこりにくくなっています。
腫脹
腫脹とは、炎症や腫瘍などが原因で、からだの組織や器官の一部がはれ上がることです。痛みを伴うことがあります。
女性ホルモン
女性ホルモンとは、脳の下垂体から出た性腺刺激ホルモンにより、卵巣でつくられるホルモンの総称です。また、妊娠中は胎盤からも女性ホルモンが産生されます。月経や妊娠、出産、授乳などはすべて女性ホルモンと関係しています。女性ホルモンの中には、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。無理なダイエットや過度なストレス、不規則な生活などは女性ホルモンのバランスを崩す原因となります。
心因性
心因性とは、ストレスや不安な気持ちなどの心の状態から引き起こされる病気のことです。
人工授精(AIH)
セックスをせずに採取した夫の精液をカテーテルという細い管を使って子宮内に入れることをAIHといいます。性交障害や精液性状の悪い場合でも、受精する確率が高まる方法です。最近では、ほとんどの場合、濃縮洗浄した精子を人工授精に用います。夫が無精子症の場合、夫以外の精子を使って行う人工授精を非配偶者間人工授精(AID)といいます。

スイムアップ法(Swim Up法)
スイムアップ法とは、採取した精子の中から、高速運動精子・直進精子を集める方法です。遠心分離法で選ばれた精子に培養液を加えて、上澄みに浮遊した良好な精子を採取します。精子の運動率を高める効果がありますが、精子の総数を減らしてしまうという欠点もあります。
スパクロミン
スパクロミンとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名のひとつです。視床下部や脳下垂体に働きかけて、脳下垂体の卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。スパクロミンと同等の効果のある排卵誘発剤には、クロミッド、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどがあります。
スプレキュア
スプレキュアとは、脳下垂体に働きかけて脳下垂体ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン)の分泌を抑制する点鼻薬です。脳下垂体ホルモンの分泌を抑制することで、卵巣内の卵子が排卵するのを阻止します。体外受精ではすべての卵子の成長をコントロールしたいのでスプレキュアを用い、脳下垂体ホルモンの分泌を抑制して人為的に卵子を成熟させていきます。一般的にはロング法とショート法があって、使用期間がそれぞれ異なります。ロング法では前周期の黄体期半ばから、ショート法では月経が開始されてからこの薬を連続で使用します。また短期で使用すると、排卵を促す効果もあります。これはスプレキュアのフレアーアップというLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、排卵目的のHCG注射の代用として用いられます。さらに、閉経したような状態を作ることもできるので、子宮内膜症や子宮筋腫の治療にも使われます。スプレキュアの副作用は、頭痛や下腹部痛、不正出血、更年期症状(長期使用の場合)などが挙げられますが、一時的なことが多く、比較的使いやすい薬とされています。ナサニールも同じような薬で、これらの薬をまとめてGnRHアゴニストと呼んでいます。

精管精嚢造影
精管精嚢造影とは、閉塞性無精子症の疑いがあり、精路再建手術を受けたいとの希望がある場合に、精子の通り道のどこがつまっているかを調べる目的で行います。精管が通っている精索に局所麻酔をかけ、陰嚢の皮膚を1cmほど切開して精管を引き出し、やわらかいチューブを挿入します。造影剤を注入してレントゲン撮影をすることで、精管や射精管の通過性、精嚢の状態がわかります。
性感染症(STD)
性感染症(STD)とは、性行為により感染する病気のことです。性行為感染症ともいいます。クラミジア感染や淋菌感染がこれにあたります。症状を感じにくいものもあるため、感染しても気づかないでいることもありますが、感染の疑いがあれば婦人科か泌尿器科を受診してください。
精管通過障害
精管通過障害とは、何らかの理由で精管が閉塞していて、精巣で精子が作られているにもかかわらず、射精された精液に精子が極めて少ない状態を言います。場合によっては、無精子症のようにまったく精子が含まれないこともあります。この場合は、手術によって精管閉塞の治療をします。また、精巣から精子を採取して顕微授精などを行う方法もあります。
生検
生検とは、病変の組織を採取して、それを顕微鏡で調べる検査のことです。病変の場所によって、針のような器具を刺して採取したり、医療はさみやメスで切り取って採取したりします。
性交障害
性交障害とは、性交がうまくいかない障害のことを言います。男性は勃起障害や勃起不全のように、勃起しないために性交ができない状態、および勃起はしても十分な勃起にならない、あるいは維持できないために満足な性交が行えない場合もこの障害に当てはまります。男性側が勃起しても性交がうまくいかない場合の多くは、女性側の処女膜が肥厚し強靭なため挿入が困難というケースがあります。女性側が痛みを訴えることが多く、女性の処女膜を切開する手術で解決されます。
精索静脈瘤
精索静脈瘤とは、精嚢内の静脈の血液がうっ滞することにより、こぶ状に太くなる状態のことをいいます。男性の6人に1人が認められる病状で、思春期以降に起こります。精索静脈瘤の存在により、精子の産生を低下させるだけでなく、精子の質を低下させることがあるため、不妊の原因になるとされています。静脈瘤の結紮術(けっさつじゅつ)が必要となるときがあります。
精子
精液は、男性のペニスから射精される受精能力を持った液体のことを言います。射精された粘度のある液体はあくまで精液であり、精子はその精液中にわずか1%しかありません。精子は卵子とは違い、精巣内で毎日作られ、いつでも射精が出来るように蓄えられています。ただし、毎日射精してしまうと精液が薄くなったり、また溜めすぎると精子が老化すると言われています。一般的には3~5日間隔で放出された精子が元気が良いとされています。射精された精子は、過酷なサバイバルの中で女性の膣内から卵子が待つ卵管膨大部に到達します。その過程で受精能力を獲得し、生き残った精子だけが卵子とひとつになって受精卵になります。
精子形成障害
精子形成障害とは、精子の数が少なかったり、運動率が悪かったり、奇形が多いなどといった精子をつくる機能に問題がある状態をいいます。男性不妊の原因の約90%を占めています。精子精液検査や染色体検査、 精巣生検などで発見され、病態によって乏精子症、精子無力症、精子奇形症、無精子症などに分けられます。 
精子精液検査
精子精液検査とは、病院から渡された容器の中に射精した精液を入れて提出し、その精液を20~30分置いて液化させた後、色や量、精子の濃度、運動率、奇形率などを調べます。精液の採取は、病院で行う場合と自宅で行う場合があります。自宅で行う場合は、病院に持っていく予定時間から逆算して採取する時間を確認し、容器に入れた精液は人肌で温めて持っていくように気を付ける必要があります。男性の精液は日々のストレスや生活習慣などの影響を受けやすいため、複数回検査を行うことで総合的に判断します。健康で体格もいいなら精子も問題ないかといえば、そうとは言い切れません。 ご結婚後、すぐに赤ちゃんを望まれているなら、チェックされておかれることをおすすめします。WHO(2010)の精子濃度の正常下限は、1500万/mlです。
精子生存試験
精子生存試験とは、精子の運動能力を調べる検査です。スイムアップさせた精子を、24時間以上培養し、36時間以上運動能力に低下が見られなければ、自然妊娠が十分に可能だと考えられています。また、逆に精子の運動能力が落ちた場合は、受精能獲得や先体反応が起こらない可能性があるため、人工授精や体外受精へのステップアップをおすすめすることがあります。この検査は、一般的な精子精液検査で問題があるときなどに行なわれる特殊な検査(精子機能検査)のひとつです。
精子不動化抗体
精子不動化抗体とは、精子の運動を妨げる抗体のことです。不妊症の女性にこの抗体ができている場合があります。疑いがある場合は、その女性の血清と正常精液を用いて、精子不動化試験を行い、精子の運動率が50%以下になっていることで判定します。
精子膨化試験
精子膨化試験とは、男性の精子を調べるための方法です。一般的な精子精液検査で問題があった場合に行います。方法としては、精子に低浸透圧負荷をかけることで、精子の尻尾の部分に見られる膨化の程度を観察します。精子尾部全体が大きく膨化しているものほど細胞膜が無傷で精子機能が良好だと考えられています。精子膨化試験の測定方法や判断基準には施設によって違いがありますが、短時間で結果が測定できる検査になります。
精子無力症
精子無力症とは、液化された精液中の精子の運動性が正常基準に満たない場合をいいます。現在のWHO(2010)の規定では、総運動率が40%以下の場合あるいは、高度運動精子率32%以下の場合、精子無力症となります。         
成熟卵子
成熟卵子とは、受精に適した卵子のことです。自然周期では月経周期8日頃から、その周期に排卵する卵胞は10mm径となっています。この卵胞が1日に約2mmずつ大きくなり成熟卵子が形成され、卵胞が17-27mm径で排卵します。一方、排卵誘発では複数個の卵胞が大きくなります。その卵胞径が16-23mmの時の卵子が、受精率も高く成熟している卵子となります。
生殖補助医療技術(ART)

生殖補助医療技術(ART)とは、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のように、生殖を補助する目的で施される医療行為、医療技術などの総称です。生殖医療技術、高度生殖医療、生殖補助医療などと呼ばれることもあります。ARTの種類には、体外受精-胚移植(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)の他に、接合子卵管内移植(ZIFT)および卵管内配偶子移植(GIFT)があります。それに加えて医療技術として「胚の凍結」、「アシステッドハッチング」、「着床前診断」なども含まれます。
性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
性腺刺激ホルモンとは、性腺の発育促進や機能調整などの働きを持つ糖たんぱく質ホルモンです。下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)と、胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の3種類があります。視床下部から下垂体に働きかけることで性腺刺激ホルモンが分泌され、それが卵巣を刺激して、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が高まることで排卵が起こります。ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、妊娠によって胎盤から産生され、妊娠の維持に不可欠なホルモンです。
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)とは、性腺刺激ホルモン(FSHとLH)を下垂体前葉から分泌させるホルモンで、脳の視床下部で合成し分泌されます。卵巣からの女性ホルモン分泌をコントロールしている元のホルモンです。
精巣
精巣とは、精子を形成し男性ホルモンを分泌する器官です。陰嚢の中にある左右1対の卵形の臓器で、これを睾丸とも呼びます。被膜に包まれた精巣内は、密集した精細管が曲がりくねった状態で詰まっています。
精巣上体
精巣上体とは、精子を貯蔵し、成熟させる場所になります。副睾丸とも呼ばれ、精巣の上部から後部にかけて付着している細い管です。精巣の精細管でつくられた精子は、精巣上体を通過する間に最終的な成熟をとげて射精の時期を待ちます。 
セカンドオピニオン
セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている医師とは別の医師から第2の意見を求めることを言います。従来の医師に任せきりの医療ではなく、患者様自身が納得して治療法を選択する医療に変わってきたことから、セカンドオピニオンという考え方が広がりました。基本的に自費診療となります。
セキソビット
セキソビットとは、卵を成熟させるための薬です。視床下部の脳下垂体に働きかけ、性腺刺激ホルモンの分泌を促進します。それにより、卵胞は成熟して排卵します。よって、これを排卵誘発剤と呼びます。同じ効果をもつものにクロミッドがありますが、セキソビットはこれよりもマイルドな薬になります。クロミッドに比べ排卵率は少し落ちるものの、その代わりにOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などの副作用が起こりにくくなります。
接合子卵管内移植(ZIFT)
接合子卵管内移植(ZIFT)とは、体外で卵子と精子を1日培養させ、受精卵になったのを確認してから卵管に戻す治療法です。これに対して、体内(卵管内)で受精させる方法を配偶子卵管内移植(GIFT)といいます。ZIFTとGIFTの違いは、受精の有無を確認できるか否かという点です。受精が確認できることにより受精障害が心配されるケースでは効果があります。しかし最近ではGIFT、ZIFT共に、特殊な場合以外はあまり行われていません。
セロフェン
セロフェンとは、卵を成熟させるための薬です。視床下部の脳下垂体に働きかけ、性腺刺激ホルモンの分泌を促進します。それにより、卵胞は成熟して排卵します。よって、これを排卵誘発剤と呼びます。セロフェンの他にもクロミッド、オリフェン、フェミロンなど、同様の効果を持つ薬がありあます。
潜在性高プロラクチン血症
プロラクチンの基礎値が正常でも、TRH負荷試験により負荷後15分値が異常高値であれば、潜在性高プラクチン血症と診断します。 高温期が短くなる黄体機能不全の原因となることがあり、テルロンやカバサールなどのプロラクチン値をさげる薬を飲む必要があります。
染色体
人間はたくさんの細胞から形成されており、その細胞のひとつひとつには核という部分があります。その核の中には生きていくために必要な情報がたくさん詰まった遺伝子(DNA)が、二重のらせんの構造をして収納されています。このらせん糸はとても長いので、折りたたみ、さらにくるくると毛糸のように太く巻いて小さな核の中に入っています。これが染色体です。染色体は核の中に複数個あります。2本で1組となり、ヒトの細胞の核には、23組46本の染色体があります。そのうちの1組2本の染色体を性染色体と言い、それが女性になるか男性になるかを決めています。女性の場合はXX、男性の場合はXYと表現されます。普段は見ることができませんが、染めると顕微鏡で見ることができるため、染色体と言います。
染色体異常
染色体の構造や数に異常がある場合を染色体異常と言います。構造の異常には転座または転位、逆位、欠失、重複、挿入、モザイクなどがあります。また、46本あるはずの染色体が1本多かったり少なかったり、染色体の一部分が欠けてしまうなどの異常もあります。このような異常が見られた場合、ダウン症候群やターナー症候群、クラインフェルター症候群などの形で現れます。

双角子宮
双角子宮とは、子宮がウサギの耳のように2つに分かれているものです。子宮腔が2つ存在している状態になります。子宮奇形の中でも最も多い種類の奇形です。子宮卵管造影検査で診断できます。双角子宮の場合、子宮腔の形から流産を引き起こしやすいことが知られています。また出産の際に胎児がうまく回旋することが難しく、帝王切開になることもあります。まれに2つに分かれている子宮腔を1つにする手術が行なわれることがあります。
造精機能障害
精巣で精子をつくる機能に異常がみられることを造精機能障害といいます。無精子症・乏精子症・精子無力症などがあり、男性不妊の原因の約90%がこの造精機能障害です。 精巣や内分泌系(ホルモン分泌等)の異常が障害をひき起こします。一度の射精で精子の数は2~3億とされており、このうち子宮の前で99%が死滅するため子宮に残るのは数十万以下まで減ります。卵子の周囲まで到達できるのはそれからさらに減った数百以下となるため、精子の数が少なかったり、運動性に乏しい場合は卵管に到達する精子が極端に少なく、妊娠しない原因となります。
早発卵巣不全
早発卵巣不全とは、40歳未満で卵胞が枯渇または減少し、月経が無くなった状態をいいます。日本女性の平均閉経年齢は約50歳(45~56歳)と報告されているため、早い年齢で月経が来ない状態になってしまう症状です。卵巣にまだ卵胞が残っている場合もあるため、治療によって排卵させ、妊娠することもあります。
続発性不妊症(二人目不妊)
続発性不妊症とは、第一子を出産し、その後性交をもって1年が経過しても第二子が授からない場合をいいます。二人目不妊ともいいます。原因はやはり一人目の時と体の環境が変わっていることにあります。排卵障害やホルモンバランスの異常、最初の分娩の際に感染症を起こしていたり、産後にクラミジア感染を起こしている場合もあります。また、卵管の詰まりや性生活の減少、加齢による卵子の質の低下や数の減少も考えられます。

体外受精(IVF)
体外受精(IVF)とは、卵巣から採りだした卵子を培養液の中に移し、その培養液の中に精子を注入して、精子が自ら泳いで卵子の中に入り込むのを待って受精させることをいいます。月経周期の初めから排卵誘発剤を使って卵子を成熟させ、採卵する時期、受精卵を子宮内に戻すまでをすべて計画して行なわれます。受精卵は28時間後には2つの細胞に分割して「胚」と呼ばれるようになり、その後にも細胞分裂を繰り返して、4細胞から胚盤胞と呼ばれる段階に入ったところで子宮内にもどす方法が一般的になりつつあります(ET)。体内での受精が難しい場合や、両側卵管閉塞、重度男性不妊などの一般不妊治療で妊娠が難しい場合に体外受精が勧められます。
タイミング療法
タイミング療法とは、排卵期に確実に性交渉をすることで自然妊娠を目指す方法です。医療介入度が最も低く、より自然妊娠に近い治療方法になります。治療の手順はまず、毎朝基礎体温表をつけます。排卵日が近づいたら週に1~2回通院をし、超音波検査で卵胞や子宮内膜のサイズを測って排卵日を予測します。卵胞は1日に1~2mmずつ大きくなり、直径が18~22mmになると排卵するので、この排卵期に性交渉をして妊娠を目指します。年齢とともに妊娠率が低下するため、比較的時間的な余裕がある方や、できるだけ自然妊娠を希望される方に適した方法です。また、血中・尿中のLHというホルモンの数値を調べて排卵日を予測することもできます。タイミング療法には、自然周期によるタイミング療法と排卵誘発剤を用いたタイミング療法の2段階ありますが、排卵誘発剤を使ったタイミング療法を行っても自然妊娠しない場合は人工授精に進みます。
ダグラス窩
ダグラス窩とは、直腸と子宮の間にある腹膜腔の一部です。直腸子宮窩ともいいます。子宮が女性にしかないため、ダグラス窩は本来女性にしか存在しません。
多胎妊娠
多胎妊娠とは、2人以上の胎児を同時に妊娠している状態をいいます。2人同時に妊娠が起こることを双胎、3人は品胎、4人は要胎、5人は周胎と呼びます。一時、不妊治療の発達により多胎妊娠の割合は増加しましたが、子宮内に戻す胚の数の制限により発生率は減少しています。一般的な症状としてはつわりが強く、子宮の増大が速いことがあります。また早産や妊娠高血圧症候群、貧血、子宮内発育遅延を併発しやすく、妊娠後期には子宮の増大のために下肢や外陰部に浮腫が起こりやすくなります。経膣分娩にならずに帝王切開になることが多いです。
ターナー症候群
ターナー症候群とは、同年齢の人に比べて身長が著しく低く、外陰部は成長しても子どものような外観のままで、月経発来、恥毛の発育などの二次性徴の発現もほとんどみられないような特徴をもつ女性特有の病気です。本来XXの構成をもつはずの性染色体がX1本分しかないという染色体異常により発症します。先天的な病気で、女児1000人の出生に1~2人みられる頻度の高い疾患です。子宮、腟、卵管の発育も不十分で、空間識別能力や注意力など、高次脳機能の問題を合併することもあります。症状の程度や、症状が表面化する時期はさまざまです。ターナー症候群の低身長に対して、成長ホルモン補充療法が1999年に国内承認されています。女性ホルモンの不足に対しては、内服薬による補充が行われます。
ダナゾール
ダナゾールとは、男性ホルモンの誘導体で、GnRHアゴニストと同じように下垂体にも働きかけるホルモン剤です。下垂体に直接作用し、エストロゲンの分泌を抑えて月経を止める作用があります。ダナゾールを使う療法も偽閉経療法のひとつです。子宮内膜症の治療において評価されていますが、血栓ができやすく、脳梗塞や心筋梗塞などを誘発するリスクがあります。そのため、 継続して使用するのは4~6ヶ月と決められています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、小さい卵胞が卵巣の中にたくさんできるにもかかわらず、排卵がおこりにくくなる病態です。卵巣の表面が肥厚し排卵が行われず、滞留した卵胞によって卵巣が多嚢胞化してしまいます。エコー画像で見ると、卵巣の表面に沿って粒がぐるりと数珠つなぎになっている様子から、ネックレスサインと呼ばれます。月経異常や不妊に加え、多毛、男性化、肥満などを伴います。 病名が長く言いにくいため、Polycystic ovary syndromeという英語の病名の頭文字をとって、PCOSまたはPCOと呼ばれています。
男性不妊
妊娠を希望して一定期間の性生活を行っているにもかかわらず、妊娠が成立しない状態を不妊症といいます。その内、約50%は男性側に原因がある男性不妊症です。男性不妊症には、原因が明らかな器質性と、明らかでない機能性の2つがあります。 もっとも多いのが乏精子症、精子無力症、無精子症などの造精子障害、つづいて勃起障害(ED)です。
男性ホルモン(アンドロゲン)
男性ホルモンとは、男性が男性らしくあるために必要なホルモンです。性器の発育、骨格や筋肉の形成、性欲、精子形成などに深く関わっています。

膣は伸縮性のある筋肉でできた長さ7~9cmの管状の臓器で、外陰部と子宮頚部をつないでいます。交接器および産道でもあります。
着床
卵子と精子が受精後、受精卵はゆっくりと細胞分裂を繰り返しながら発育し、子宮に向かって48時間ほどかけて卵管を下っていきます。その間に、卵巣からのホルモンの働きにより、子宮の内膜は柔らかく、厚くなっていきます。 受精卵が子宮にたどり着くころには、受け入れ態勢を整えたベッドのような子宮内膜になっており、受精卵はそこにもぐりこんで根を下ろして母体としっかり結びつきます。これが着床です。着床が完了するのは排卵から7~11日後で、これをもって妊娠の成立となります。 着床した受精卵からは胎盤が形成され始め、その胎盤は妊娠中期に入るころまでに徐々に作られます。
着床障害
卵子と精子が受精後、受精卵が何らかの原因によって着床が起こらない状態を着床障害と呼びます。受精卵のためのふかふかのベッドであるはずの子宮内膜が、着床のために適した厚さと状態にならないと妊娠は継続しません。そのため、超音波検査によって調べた際に、子宮内膜の厚さが通常のところ8ミリ以上であるのに対し、6ミリ以下では着床障害、あるいは黄体機能不全と診断されます。黄体ホルモンの分泌が不十分だと、このように子宮内膜の厚さが足りない状態になります。排卵後に受精が成立したかどうかを調べる方法はなく、他の不妊原因に比べると着床障害は診断が難しいとされています。
着床前診断
着床前診断とは、受精卵が8細胞~胚盤胞前後にまで発生が進んだ段階で細胞を採取し、その遺伝子や染色体を解析することで、将来起こりうる遺伝疾患や流産の可能性を診断するための検査になります。胎児の細胞を検査する出生前診断と違って、妊娠前に診断できます。しかし、生命の選別が行われるとして倫理的に問題視されており、日本産科婦人科学会では、成人までに発病して生命に関わる重い遺伝病に限り、実施の可否を個別に審査することになっています。
着床前スクリーニング
受精卵の染色体の異常を幅広く調べ、正常なものだけを子宮に戻す方法です。2015年現在、日本産科婦人科学会の臨床研究計画として、期限付きで体外受精を3回以上失敗した人や原因不明の流産を2回以上繰り返した人を対象に計600人集め、着床前スクリーニングを行うグループと行わないグループの2つに分けて、流産や妊娠、出産の成績に差が出るかどうかを調べています。
中隔子宮
子宮の発生過程で、子宮底部(口側)の癒合がうまく行かなかった時に中隔ができます。この中隔が流産の原因や、着床障害の原因となることがあり、子宮卵管検査や経膣超音波検査で診断することができます。
超音波検査
超音波検査とは、超音波を体に当てることで臓器や組織にぶつかってできる反射を利用し、おなかの内部をモニター画面に映し出して診断する検査です。放射線を使わないので、人体に無害で刺激を感じることは少ない方法です。卵巣や子宮内膜の状態が分かるだけでなく、 赤ちゃんの心臓の拍動や大きさ、位置、姿勢なども見ることができます。最近では3D画像やカラー画像で胎児の様子がくっきりわかるようになりました。
チョコレート嚢腫
チョコレート嚢腫とは、子宮内膜症が卵巣の中で進行し、月経ごとにたまった血液が古くなって、練りチョコレート状のブヨブヨしたかたまりとなる病状をいいます。そもそも子宮内膜症とは、子宮の内面をおおっている子宮内膜と同様の組織が、子宮の内面以外の部位にできる病気です。不妊症の原因や月経困難症の原因となることのあるこの子宮内膜症は、初経から閉経までの生殖可能年齢の女性に発症します。

TRH検査
TRH検査とは、プロラクチン分泌を正確に測定する検査です。単純な採血でもプロラクチンの高低は把握できますが、この検査は排卵障害や黄体機能不全を起こす原因となる潜在性高プロラクチン血症を診断するために、不妊検査のひとつとして行います。検査方法は、TRHと呼ばれる甲状腺刺激ホルモンの分泌ホルモンを500ug注射し、脳下垂体からのプロラクチン(PRL)を測定します。潜在性高プロラクチン血症である場合、TRH負荷試験前には30ng/ml以下を示し、TRH投与後には最大反応値120ng/ml以上の過剰反応を示します。ただし、ストレスや痛み、薬物などで検査結果が左右されることがあるため注意が必要です。
テストステロン
テストステロンとは、男性ホルモンの一種です。もっとも分泌量が多く、作用も強い男性ホルモンになります。男性性器の発育、機能の維持、性器の成熟、体毛・恥毛・ひげの発生、変声、性欲の高まり、筋肉増大、骨格(特に肩幅、胸郭)の発達など、男性を男性らしくする作用をもちます。このテストステロンは睾丸の間質細胞の中で作られます。一般に30歳ごろから減少しはじめ、年に1~2%の割合で減少していきます。テストステロンがストレスなどで急激に減少すると男性更年期障害を起こしますが、女性の更年期ほどには急激にホルモン分泌は変化しません。身体や精神に与える影響やテストステロンの減少率には個人差があります。
デュファストン
デュファストンとは、黄体ホルモンの不足やバランスのくずれで起こる症状を改善する薬です。一般不妊治療でよく使われます。高温期が短かったり、低温と高温の差がなかったりするような黄体機能不全のときなどにも使用します。この場合、デュファストンを排卵日後に服用することで、高温期を維持して子宮内膜を厚くし、着床しやすい状態にます。また、デュファストンと同じような使われ方でhCG注射で卵巣に働きかけることもあります。
テルロン
テルロンとは、高プロラクチン血症の治療薬です。 高プロラクチン血症は、30ng/ml以下であるプロラクチンの正常値よりも高くなってしまうことで、妊娠するかプロラクチンの数値が改善されるまではテルロンを飲み続けることになります。副作用として吐き気や嘔吐、頭痛などを伴うことがあります。

凍結保存(胚凍結法)
体外受精や顕微授精の治療において、排卵誘発・採卵をした結果、良好な受精卵をたくさん得られることがあります。この場合に、良好な受精卵を凍結して分裂を停止させ、次回の治療のために長期保存する技術を、凍結保存または胚凍結法といいます。現代の不妊治療(ART)には欠かせない技術です。
凍結融解胚移植
体外受精や顕微授精では、採卵した卵子と精子を受精させ、その受精卵を子宮に戻して妊娠を目指します。採卵した時の周期に受精卵を子宮に戻すことを新鮮胚移植と呼びます。また、その際に良好な受精卵がたくさん得られた場合には、いったん凍結して次の周期もしくはそれ以降の周期に融解させて子宮に戻します。これを凍結融解胚移植または凍結胚移植といいます。この方法は良好な受精卵のみを凍結保存し、より自然に近い環境で融解胚移植をするため、新鮮胚移植よりも高い妊娠率が得られます。
透明帯
透明帯とは、卵子の細胞膜を取り囲むタンパク質のことです。これが精子の外側の先体と結合して接着を開始し、精子と卵子が融合できる状態となります。

内視鏡
2段階胚移植法とは、通常の胚移植(ET)に加えて、同周期のうちにさらに胚盤胞を移植する方法です。採卵の2~3日後に最初の胚を子宮内に戻し、採卵の5~6日後に体外で培養させた胚盤胞を移植します。2段階胚移植法では、胚移植する個数が多いので妊娠率は上がりますが、多胎妊娠の可能性が増えます。また、胚盤胞移植は移植あたりの妊娠率は高いものの、胚盤胞まで至らず、移植がキャンセルになった例も含めた妊娠率では通常の胚移植と変わりません。現在では胚移植(ET)する受精卵の個数について、日本生殖医学会や日本産婦人科学会で原則として1個と決められています。
ナサニール点鼻薬
ナサニール点鼻薬とは、「GnRHアゴニスト」のひとつで、薬剤を鼻から吸収させます。GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が分泌されることで、脳下垂体ホルモンのFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)が作用し、卵巣内の卵子が成長して排卵します。ナサニール点鼻薬ほ使用すると、はじめは女性ホルモンの分泌が増えますが、2~3週間すると逆に女性ホルモンが低下していきます。閉経のような状態にするので「偽閉経療法」ともいいます。体外受精では全ての卵の成長をコントロールするために、このように人為的に卵を熟成させます。またナサニールを短期で使うことで、排卵を促す効果もあります。これはナサニールのフレアーアップというLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、HCG注射の代用として体外受精以外の周期でも使用されることがあります。ナサニールの副作用は、頭痛や下腹部痛、不正出血などがあげられます。しかし副作用は一時的なことが多く、比較的使いやすい薬とされています。子宮内膜症や子宮筋腫の症状が重い場合や閉経の近い人にも用いられる治療法です。同じ作用の薬にスプレキュアがあります。

2段階胚移植法
2段階胚移植法とは、通常の胚移植(ET)に加えて、同周期のうちにさらに胚盤胞を移植する方法です。採卵の2~3日後に最初の胚を子宮内に戻し、採卵の5~6日後に体外で培養させた胚盤胞を移植します。2段階胚移植法では、胚移植する個数が多いので妊娠率は上がりますが、多胎妊娠の可能性が増えます。また、胚盤胞移植は移植あたりの妊娠率は高いものの、胚盤胞まで至らず、移植がキャンセルになった例も含めた妊娠率では通常の胚移植と変わりません。現在では胚移植(ET)する受精卵の個数について、日本生殖医学会や日本産婦人科学会で原則として1個と決められています。
尿中LH検査
尿中LH検査とは、排卵前の尿の中に含まれるLH(黄体形成ホルモン)濃度を調べる検査です。LHは脳下垂体前葉から分泌されるホルモンで、排卵が近づくと急激に大量分泌されます。この現象をLHサージといいます。サージとは大きな波という意味で、LHサージが引き金となって排卵が起こります。よって、尿中のLH濃度を調べることで排卵日が予測できます。この検査は、タイミング療法や人工授精の際に行われます。なお、LHサージが起こるのは卵胞の大きさが20ミリ前後で、LHサージが開始してから約36時間後に排卵します。

ネックレスサイン
経膣超音波検査画像で見たときに、卵巣の表面に沿って多数の卵胞がぐるりと真珠のネックレスのようになっている様子を「ネックレス・サイン」と呼びます。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)患者の超音波診断で見えるのが特徴で、この卵胞は成長を止めてしまっているものが多いとされます。また、その一つ一つは卵巣の表皮が硬く厚くなってしまい、排卵障害となる疾患です。PCOSでも卵胞の散らばり方には種類があります。ネックレスサインを持つほど重度な排卵障害の可能性が高まり、さらに排卵誘発時にOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こしやすいと言われています。
粘膜下筋腫
粘膜下筋腫とは、子宮筋腫のひとつです。子宮の内側を覆う粘膜の下にでき、子宮内膜から子宮内腔へ向かって発育します。 茎ができてその先にぶら下がったものを「有茎粘膜下筋腫」といいます。また、この筋腫が子宮口から膣内に飛び出したものを「筋腫分娩」といいます。過多月経から貧血になったり、不妊の原因となる疾患です。症状のある粘膜下筋腫は内視鏡手術の適応になることがあります。

膿精液症
膿精液症とは、男性の精液1mL中に白血球が100万個以上ある場合を言います。精液の色は黄色みを帯びています。精子の運動率が低下して、妊娠率が低くなることもあります。大腸菌などの細菌やクラミジアによる精嚢や前立腺の炎症が原因ですが、精路全体の感染を起こしていることもあるので注意が必要です。

精子と卵子が1つになることを受精といい、受精卵は胚または胚子と呼ばれるようになります。胚とは、精子と卵子が結合して産み出された発生初期の個体のことです。体外受精の場合、同じ液体の中に精子と卵子を入れて体外で受精をはかりますが、その際10時間ほど経つと前核期胚となり、2日目には4細胞期胚、3日目には8細胞期胚、4日目には桑実期胚、5日目には胚盤胞と呼ばれる状態になります。
バイアグラ
バイアグラとは、一酸化窒素の平滑筋弛緩作用を高めることで陰茎の勃起を促進する作用のある薬です。性交時に十分な勃起やその維持ができずに、満足な性交が行えない場合に処方されます。このような状態が続く場合、勃起障害または勃起不全(ED)の疑いがあります。レビトラやシアリスなどの治療薬も同様の作用を持ちます。
胚移植(ET)
胚移植(ET)とは、体外受精で行われた受精卵を子宮内に移植して、着床を促し妊娠をはかる技術です。受精卵を胚と呼び、胚が細胞分裂を始めて2~3日後の4~12細胞くらいになったところで、状態がいい胚を子宮内に移植します。このときの胚にはグレードがあり、G1~G5にわけられます。そして、移植から2週間後くらいに妊娠しているかどうかの結果が出ます。移植に使われなかった胚は凍結保存することが可能です。新鮮胚で妊娠が成立しなかった場合には、あとの周期で凍結胚を使って胚移植をします。IVF-ETでは、胚移植する個数が多ければ妊娠率は上がります。しかし、リスクの多い多胎妊娠の可能性が増えるため、胚移植する受精卵の個数については、日本生殖医学会や日本産婦人科学会で可能な限り少なくするように、1~2個と制限が決められています。
配偶者間人工授精(AIH)
配偶者間人工授精(AIH)とは、夫の精子を使って人工授精を行う方法です。当クリニックでは通常、採取した夫の精子から密度勾配法やSwim Up法で活発な精子を選別したのちに濃縮し、排卵日に合わせて子宮の奥深くに入れます。 この作業により、精液に混じった細菌や赤血球・白血球を取り除くことができます。一般的には軽度の乏精子症やタイミング療法で妊娠しなかったときに、次のステップとして考えられる方法です。
配偶子卵管内移植(GIFT)
配偶子卵管内移植とは、ギフト(GIFT)ともいいます。体外で卵子と精子を混ぜ合わせ、受精する前の状態で卵管の中に戻す治療法です。卵子と精子が自然な環境に近い卵管内で受精し、発育胚となるため、高い成功率が報告されています。ギフトは腹腔鏡下で行なわれることが多く、体内で受精します。
胚凍結法(凍結保存)
体外受精や顕微授精の治療において、排卵誘発・採卵をした結果、良好な受精卵をたくさん得られることがあります。この場合に、良好な受精卵を凍結して分裂を停止させ、次回の治療のために長期保存する技術を、胚凍結法または凍結保存といいます。現代の不妊治療(ART)には欠かせない技術です。
胚盤胞
胚盤胞とは、卵割期が終わり、中に空洞のある胞状の胚子(胞状胚)のことをいいます。これは受精卵のことです。ヒトの胚盤胞は70~100個の細胞を含有しており、その内の内細胞塊は身体のあらゆる細胞に分化する能力を持ちます。この細胞を取り出して培養したものがES細胞です。再生医療の分野で注目を浴びています。
胚盤胞移植
通常の体外受精・胚移植においては、採卵した後、受精した胚を培養して、2~4細胞期胚になる2日目に子宮腔に戻します。これに対して、5日目から6日目まで体外で培養し、胚盤胞まで分割が進んだ胚を子宮腔に戻す操作を胚盤胞移植といいます。胚盤胞まで進んだ胚は着床率が高いため、移植する胚を1~2個に減らすことができ、多胎を回避できます。しかし、2日目では移植可能だった胚が、2日目から5日目までの間に成長が止まってしまい戻せなくなってしまう可能性もあるため注意が必要です。
排卵
成熟した卵胞が破れて、卵子を放出する現象を排卵といいます。月経周期の過程で起こります。排卵された卵子は卵管に入り、ここで精子と出会って受精します。
排卵障害
排卵障害とは、何らかの異常が原因で、排卵がうまくできない状態をいいます。卵子が排卵されなければ、決して妊娠することはありません。そのため、不妊の原因の一つであり、全体の約2割を占めています。排卵障害の原因には、日常生活でのストレス、無理なダイエットや不規則な生活などによる心因性のものと、内分泌のバランスが悪い場合の内分泌性のものの、おおきく2つに区別されます。ほとんどはホルモンが関与しており、排卵が全くない無月経や、月経周期が乱れている月経不順も排卵障害に当てはまります。基礎体温を測ると分かりますが、正常な人はきれいに2相に分かれているのに対して、排卵障害がある人はジグザグだったり、1相しかない低温期のままだったりします。また、2相に分かれていても高温期が10日未満だと受精卵の着床障害の原因になるかもしれません。特に45~60日以上月経が来ない人は治療を受けたほうがよいとされています。
排卵誘発剤
排卵誘発剤とは、卵巣を刺激して排卵を起こさせる薬です。飲み薬と注射薬の2種類があり、飲み薬で効果が見られないときに、より強力な注射薬に移行するのが一般的な流れです。基本的には月経不順や無月経、排卵障害が原因の不妊症の治療に使われますが、排卵がふつうにある場合でも、人工授精や体外受精のときに、妊娠率を上げる目的でよく用いられます。
ハムスターテスト
ハムスターテストとは、一般精液検査で問題があった場合に行なわれる特殊な二次検査(精子機能検査)のひとつです。ハムスターの卵の透明帯を除いたものに、人間の精子を近づけ、精子が卵に侵入できるかを調べます。 透明帯とは卵の外側を包んでいる膜のことで、精子の侵入が認められれば、その精子に受精能力があることが証明されます。現在はあまり行われておらず、人の卵子を使ってのテストが多いようです。
パーロデル
パーロデルとは、視床下部や下垂体におけるドパミン受容体の刺激作用を持つ薬です。プロラクチンや成長ホルモンの過剰な分泌を抑えて、不妊の原因を取り除きます。また、脳の線条体にあるドパミン受容体刺激により、パーキンソン症候群の症状を改善します。この薬は通常、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、末端肥大症、下垂体性巨人症、パーキンソン症候群などの治療に用いられますが、高プロラクチンが原因の排卵障害や無月経などにも有効です。高プロラクチンをともなう下垂体腺腫をおさえる働きもあります。

ヒステロファイバースコープ
ヒステロファイバースコープとは、子宮鏡検査で使われる内視鏡のことです。外径がおよそ3mm程度の細い管の先にカメラがついています。先端を自由に屈曲することができるため、直接子宮腔に挿入することで子宮を直視下に検査できます。子宮卵管造影検査や経膣超音波検査で子宮腔に異常が疑われるときは、子宮鏡検査をする場合があります。
ピックアップ障害
ピックアップ障害とは、卵子を卵管に上手く取り込めない状態のことをいいます。原因は、卵管や卵管采、卵巣などが他の臓器に癒着しているために動きの範囲が制限されているためと考えられます。卵管や卵巣、子宮に異常がなくても起こる症状です。上手いこと卵子をキャッチできずに取り逃してしまうと、排卵している状態でも受精することができずに不妊となってしまいます。卵管や卵巣が癒着する原因として、クラミジアなどの感染・炎症が関係しています。ピックアップ障害の根本的な治療法は確立されていませんが、MRIやHSGなどの不妊検査で癒着が疑われる場合は、腹腔鏡下で癒着しているところを剥がす手術が行われます。しかし、原因がはっきりしない場合は体外受精へとステップアップすることが検討されます
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)とは、妊娠が成立した際に胎盤から急速に分泌される糖タンパク質です。卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があります。成熟した卵胞を排卵させる目的で使われる場合は、hCGが投与されてからおよそ24~36時間後に排卵が起きるので、その期間中にタイミングを合わせることで妊娠の確率を上げます。また、卵巣の排卵後の黄体の刺激に使われる場合もあり、黄体機能不全など黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌に不妊原因があるときには、基礎体温の高温期中(排卵後)にhCGを投与することで妊娠の継続が維持できるようにします。hCG注射を投与している周期では、妊娠していないのに妊娠検査薬で陽性反応を示すことがあります。
ヒト組織適合抗原(HLA)
ヒト組織適合抗原(HLA)とは、遺伝子レベルの自己白血球の抗原のことです。夫婦の間で似たようなHLAを持っていると流産しやすいと考えられています。これを夫婦間同種免疫を伴う流産といいます。これは、母体と胎児間にもHLAの類似性が高く、母体が胎児を認識できないことが一つの問題だと考えられています。治療にはリンパ球療法といい、X線や抗がん剤で不活化した夫のリンパ球を数回に分けて皮内注射します。
ヒト閉経ゴナドトロピン(hMG)
ヒト閉経ゴナドトロピン(hMG)とは、卵巣を刺激して卵胞を成熟させる薬です。閉経後の女性の尿から作られる性腺刺激ホルモンになります。HMGフジセイヤク、HMGテイゾー、フェリングなどの名前のhMGがあります。このhMG製剤の中からできるだけLHを取り除いた、ゴナピュールやフォリルモンPなどをFSH製剤と呼んでいます。
非配偶者間人工授精(AID)
非配偶者間人工授精(AID)とは、夫が無精子症などのときに夫以外の精子を使って人工授精を行う方法です。現在日本で行なわれている、唯一の配偶子提供による生殖補助技術になります。当クリニックでは、ご夫婦お二人ともに十分なカウンセリングを行ったうえで施行します。なお、絶対的条件として、夫婦間の血液型に合わせた精子を用います。
ヒューナーテスト(性交後試験)
ヒューナーテストとは、性交後の子宮頚管粘液の中にある精子の状態を見る検査です。この検査を行うに当たり、経膣エコーなどで排卵日を確認します。指定された排卵日の朝か前日の夜に性交して、その数時間以内に子宮頚管から粘液を採取しします。400倍視野の顕微鏡で観察し、粘液中に精子が確認できない場合、男性側の無精子症や女性側の抗精子抗体、子宮頚管炎などが疑われることもあります。また、多数の運動性精子が確認できると、高い妊娠率が期待できるようになります。精子の状態はそのときのタイミングや体調、ストレスによって変わってくるので数回行われます。
ピル(経口避妊薬)
ピル(経口避妊薬)とは、女性が避妊の目的で服用する薬剤です。女性ホルモンと黄体ホルモンが含まれます。従来は女性ホルモンの量が多く、血栓症などの副作用が認められました。しかし、最近では次第に量を減らして、かつ避妊効果が確実な合剤が開発され、エストロゲン量が50μg未満の低用量ピルが用いられています。さらにステロイドホルモン量が少ない低用量ピルも開発され、副作用は大幅に軽減されてきているのが現状です。

不育症
不育症とは、妊娠しても流産・早産を繰り返して、胎児が出産まで育たない状態をいいます。一般に2回続けて流産する場合を反復流産、3回以上続けて流産する場合を習慣性流産、妊娠しても生児を得られないことを大きな意味で不育症と呼びます。また1人目が正常に分娩できても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。
フォリスチム
フォリスチムとは、排卵誘発剤であるhMG製剤のひとつです。遺伝子組み換えで作られ、FSH活性のみからなります。
腹腔鏡
腹腔鏡とは、お腹の中を観察する内視鏡のことです。おへそと左右下腹部に3~4カ所5mm~1cmほどの小さな穴を開けて、炭酸ガスを入れたりお腹を吊り上げたりしてスペースを作り、そこから筒状の内視鏡や器具を入れて手術を行います。不妊症の場合、卵管周囲の癒着をみるのに適しています。
不正出血
不正出血とは月経以外の出血のことをいいます。月経痛や月経不順と同じくらい患者数が多い症状です。 おりものにうっすらと血が混じったものから、その時の原因に応じて状態や量はさまざまです。婦人科系の病気やホルモンが関係してる事も多いため、自己判断しないで、医師に判断を仰ぎ、原因をよく見極めることが大切でしょう。
二人目不妊(続発性不妊症)
二人目不妊とは、第一子を出産し、その後性交をもって1年が経過しても第二子が授からない場合をいいます。続発性不妊症ともいいます。原因はやはり一人目の時と体の環境が変わっていることにあります。排卵障害やホルモンバランスの異常、最初の分娩の際に感染症を起こしていたり、産後にクラミジア感染を起こしている場合もあります。また、卵管の詰まりや性生活の減少、加齢による卵子の質の低下や数の減少も考えられます。
不妊症
妊娠を希望して一定期間(1年間)の性生活を行っているにもかかわらず、妊娠が成立しない状態を不妊症といいます。1年経たずとも、妊娠が成立せず子供の希望があれば挙児の希望となり不妊治療の対象となります。
フレアーアップ現象
スプレキュアなどのGnRHアゴニストを使用すると、一時的に下垂体からのLH、FSH分泌が刺激されます。このことをフレアーアップ現象と呼びます。
プレマリン
プレマリンはエストロゲン剤の一種で、雌馬尿より抽出された結合型ホルモンです。エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が少ない時に補充の為に使用されます。卵巣の中の卵胞が発育して分泌されるエストロゲンと同じように、プレマリンは子宮内膜と卵巣の卵胞の発育を促す働きをもつ薬です。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
プロゲステロン(黄体ホルモン)とは、女性ホルモンの一つで、排卵後の卵胞が黄体化することによって分泌されます。妊娠前は子宮内膜を肥厚させることで受精卵の着床を円滑にし、妊娠中は排卵の抑制、子宮肥大・子宮収縮の抑制などの妊娠の維持に深くかかわります。また、妊娠後は胎児と子宮をつなげる胎盤からも分泌されます。卵巣から分泌されるホルモンには、ステロイドホルモンと呼ばれるプロゲステロンとエストロゲンがあり、これらの作用により月経周期が成り立ちます。
プロスタグランジン
プロスタグランジンとは、動物の臓器や組織に微量に存在する一群の生理活性物質です。血管拡張、血圧上昇・降下、子宮や気管支の筋収縮、血小板の凝集・抑制などの作用を示します。
ブロモクリプチン
ブロモクリプチンとは、下垂体に作用してプロラクチンの分泌を抑える薬です。胃腸障害の副作用がある場合があります。
プロラクチン
プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンのことです。女性の妊娠や授乳に大きく関係しています。妊娠中は乳腺を発育させ、出産後はエストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下し、プロラクチンの分泌が増加することで、乳汁の分泌を促します。さらに、赤ちゃんがお乳を吸うときの乳腺への刺激がプロラクチンの分泌を促すため、より乳汁がスムーズに分泌されるようになります。
分泌期内膜
分泌期内膜とは、受精卵が着床するために最も適した子宮内膜の状態をいいます。黄体期にプロゲステロンが正常に分泌されることにより、子宮内膜は肥厚して、黄体期中期には着床に適した状態になります。この時期のことを「着床の窓」ともいいます。

閉塞性無精子症
精巣内で精子がつくられても、精管が閉塞しているために射出精液中に精子がいない状態を閉塞性無精子症といいます。無精子症のうち、閉塞性無精子症は15~20%、非閉塞性無精子症は80~85%です。精巣の大きさに問題がなく、ホルモン検査でゴナドトロピン(FSH、LH)の値が正常で、精管に閉塞箇所が認められれば、閉塞性無精子症と診断されます。ただし、ゴナドトロピン値が正常でも、ごくまれにY染色体の特定部位の微小欠失により、精巣内での精子の形成が途中で止まっている精子の成熟停止のケースが含まれている可能性があります

乏精子症
男性不妊の9割以上を占めるのが、精子をつくる機能に問題のある造精機能障害です。その大半は原因がわからない特発性造精機能障害になります。どちらの場合でも、精子濃度が1ml中に2000万個未満の場合を乏精子症と言います。自然妊娠可能な精子数は、1ml中2000万個以上で、かつ運動率50%以上であるため、乏精子症だと夫婦生活による自然妊娠が難しいと考えられます。
勃起不全(ED)
勃起不全(ED)は勃起障害ともいわれるもので、勃起しないために性交ができない状態や、勃起はしても十分な勃起にならない、あるいは維持できないために満足な性交が行えないことをいいます。勃起に関係している神経系の異常や、海綿体に血液を送り込むための血管系の異常、その他内分泌系の異常、ペニスの器質的な疾患(形態異常など)によって起こる器質的原因や、ストレスなどの心理的な要因によって性交のできない機能的原因があります。機能的な原因であれば、バイアグラ、レビトラ、シアリスという治療薬を用いることで効果が期待できます。
ホルモン検査
ホルモンの分泌量を調べることによって、下垂体や甲状腺、副腎の病変を把握できます。また、女性の場合、血液中の卵巣ホルモンと下垂体の卵巣刺激ホルモンの値を調べることで、卵巣の機能をチェックできます。
ホルモン補充療法 (HRT)
ホルモン補充療法 (HRT) とは、閉経前後に起こる更年期症状や更年期障害のための治療法です。女性ホルモン(エストロゲン)を飲み薬や貼り薬として補充することで治療します。エストロゲンを補充すると、自律神経のバランスが整ってくるので、自律神経失調のために起こっていたさまざまな症状が軽くなります。 特にホットフラッシュや冷え、動悸などの血管運動系の不調は改善されやすいといわれています。また、皮膚や粘膜の乾燥や萎縮、骨密度の低下(骨粗鬆症)も、エストロゲンの補充で改善されやすくなります。閉経後も元気で気持ちのよい生活を続けていくために、ホルモン補充療法もひとつの選択となるでしょう。

マイクロサージェリー
マイクロサージャリーとは、顕微鏡下手術のことです。顕微鏡を覗きながら特殊な器具を用いて卵管の閉塞や癒着の治療のために行います。以前は、卵管性不妊で悩む夫婦の治療法でしたが、体外受精を施行する施設や技術の向上により、現在では選択されるケースが少ないようです。
マカ
マカはペルー原産のアブラナ科の多年性植物で、アンデス高地で栽培されています。円錐形の根を持ち、アルギニン酸やリジンなどの必須アミノ酸、リノール酸やα―リノレン酸などの不飽和脂肪酸が含まれます。これらの不飽和脂肪酸は、高血圧、高脂血症予防に効果があるといわれます。また、カルシウムや鉄の栄養分が含まれることから、滋養強壮の食材とされてきました。マカの効果には、活力増強、集中力の向上、ストレス軽減、更年期障害軽減、精力回復、不妊症の改善があると言われています。

未熟卵子体外培養体外受精法(IVM-IVF)
未熟卵子体外培養体外受精法(IVM-IVF)とは、卵胞の成長過程で採卵をし、体外で成熟させる方法です。その後に顕微授精を行い、通常の体外受精と同じように胚移植します。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)患者が過排卵刺激を行なうと、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の危険性が高いことから、未熟卵を使った体外受精が行われるようになりました。
密度勾配法
密度勾配法とは、遠心管中の溶液に密度勾配をつくり、これを利用して分離する方法です。パーコール液を多層に充填し、精子の回収に用いられることがあります。

無精子症
無精子症とは、精液の中に精子がいない状態のことです。造精機能の障害が原因で精子が作られていない状態を非閉塞性無精子症、造精機能は保っているものの精子の通り道がふさがっている状態を閉塞性無精子症と言います。
無排卵
無排卵とは、卵巣から排卵されない状態のことです。無月経になる場合と、月経が起こる場合があります。
無排卵性月経
無排卵性月経とは、排卵を伴わない月経を言います。基礎体温上で高温期と低温期の差がなく、月経周期が不安定(短かったり長かったり)で、不正出血が起こりやすいのが特徴です。また、月経量が少なかったり多かったり、すぐに終わってしまったり、長期間続いたりする場合があります。思春期の初経から1~2年は無排卵性月経であることが多いです。妊娠を希望する人にとっては不妊の原因にもなり、治療法は妊娠を望んでいるかどうかで変わります。妊娠を望んでいる場合には、排卵を起こさせるために排卵誘発剤を服用するか、卵巣刺激の注射を打つことになります。また妊娠を望んでいない場合には、プロゲステロン剤で消退出血を起こしたり、エストロゲンとプロゲステロンの複合薬(ピルと呼ばれる薬)を服用して、規則正しく消退出血を起こすこともできます。

メトホルミン
メトホルミンとは、インスリン抵抗性を改善する薬のことです。糖尿病治療薬として用いられます。また、不妊症の原因であるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)に効果があることが認められています。PCOSは男性ホルモン(アンドロゲン)の過剰分泌が問題になるため、メトホルミンを服用することでPCOSの排卵機能が回復することがあります。
免疫異常
免疫機能に異常が認められる場合を免疫異常と言い、細胞膜に対する抗体リン脂質抗体が陽性であると不育症の原因となります。

癒着
癒着とは、本来離れている組織が炎症や組織の損傷などが原因でくっつくことです。クラミジア感染や淋菌感染などで起こる卵管や卵管采の癒着は、不妊の原因になります。

ラパロスコープ
ラパロスコープ(腹腔鏡)とは、腹部の外から1cm前後の穴をあけて、腹腔内を観察できる内視鏡手術のことです 。超音波と違って腹腔内の卵管、卵巣、癒着、子宮内膜症や子宮筋腫がないかを直接観察することができます。
卵管
卵管とは、子宮の上部から左右に伸びている、長さ5~10cmの細い管状の臓器です。子宮と卵巣を結んでいます。卵巣から排卵された卵子は、卵管の末端の卵管采によってピックアップされ、卵管の1番広い部分(卵管膨大部)に移動し、ここで精子と出会って受精します。
卵管鏡下卵管形成術(FT)
卵管鏡下卵管形成術(FT)とは、卵管が詰まったり狭くなることで、卵子や精子が卵管を通ることができない状態、つまり通過障害がある場合に行う内視鏡治療のひとつです。先端にバルーンのついた細い内視鏡を子宮の中に挿入し、卵管口を観察しながらバルーンをふくらませ、障害のある部位を広く開通させることで、卵管の通過性を回復させる治療法になります。また、治療と同時に卵管鏡により卵管内の状態を観察することができます。体への負担が少なく、治療時間が30分程なので、外来での治療が可能です。保険適応もされています。
卵管采
卵管の子宮口側は細く、腹腔口側はしだいに太くなって、端のところがらっぱ状に広がりイソギンチャクのようになっています。この部分を卵管采といい、卵巣から排出された卵子を吸い上げて卵管に送ります。
卵管障害
"卵管は子宮の左右に1つずつあり、狭いところで直径2-3mm程度しかありません。この卵管が癒着している状態を卵管通過障害といい、受精卵が通れなくなって不妊の原因となります。卵管通過障害は不妊症の30%とも言われていて、近年増え続けている不妊原因のひとつです。受精卵が卵管に着床すると子宮外妊娠を引き起こす可能性があります。 卵管通過障害の症状は分かりにくく、多くの場合は自覚症状がありません。子宮卵管造影検査で初めて自身の卵管の癒着を知るケースもあります。卵管通過障害の原因で近年とくに増え続けているのが、クラミジア感染症です。クラミジア感染症は最も頻繁に見られる性行為感染症(STD)で、子宮頸管炎から子宮内膜炎、そして卵管炎と徐々に炎症が広がります。 卵管通過障害の治療法は、まず卵管が通っているかを調べることが第1段階となります。子宮卵管造影などの通過性を調べる検査で、卵管のつまりをよくさせることもあります。しかしそれでも癒着が取れないとき、あるいは改善されない場合には、第2段階として卵管形成手術か体外受精が効果的な治療になります。"
卵管通気検査
卵管通気検査とは、卵管の通りを確認する検査です。月経終了後の数日間に行います。子宮口からカテーテルやカニューレを挿入して、一定の圧力で炭酸ガスを出し、圧力の掛かり具合をキモグラフに記録します。また、聴診器を当てながら炭酸ガスの流出音を確認して、卵管の通り具合を観察します。グラフの形状により、正常型、攣縮型、癒着型、狭窄型、閉鎖型に分類されます。妊娠している場合や出血、骨盤内炎症・クラミジアに感染していると腹腔内に広がる可能性があるため検査ができません。
卵管通水検査
卵管通水検査とは、卵管の通りを確認する検査です。月経終了後の数日間に行います。外子宮口からカテーテルを入れて生理食塩水をゆっくり注入し、卵管に狭窄や閉塞がないかを見ます。特別な機器もいらないので、不妊検査の一環として行うことが多い検査です。
卵管膨大部
卵管膨大部とは、卵子と精子が受精する卵管の一番広い部分です。全長約10~12cmある卵管の一番奥の部分に卵管膨大部はあります。排卵時に卵巣から成熟した卵子が卵管采によって卵管膨大部に運ばれ、射精された精子も膣から子宮を上っていき、さらに卵管を通って卵管膨大部まで移動します。精子が卵子がここで出会い、受精するとこんどは子宮を目指します。
卵子
卵子は約0.1mm程の大きさで、顆粒膜という膜に覆われています。卵子となる細胞は胎児のときにすでに作られ始め、産まれたときには約200万個の原始卵胞と呼ばれる卵子を包んでいる殻のようなものが存在します。そして、思春期を迎える頃には約20万~30万個程度にまで減少しています。また、1回の排卵に向けて1000個程度の卵子が成長していきますが、最後まで成長するのはひとつの卵子(主席卵胞)のみです。残りは全て消滅します。卵子は排卵をするたびに減少していき、50歳ごろになると成長することをやめて閉経を迎えます。
卵巣
卵巣は、子宮の外側にある卵管の近くに左右ひとつずつ存在します。縦が約1.5cm、横が約3.5cm、厚さが約2cmの梅の実くらいの大きさで、楕円形をしており、女性ホルモンの分泌と卵子産生に大きな役割を果たしています。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
"不妊治療で排卵を促す際に使われる排卵誘発剤によって、卵胞が過剰に刺激されることにより、副作用として引き起こされる卵巣の腫れや、腹水、胸水などの症状を卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。重症化すれば、血栓症や腎不全、呼吸不全まで起こることがあります。一般不妊症や体外受精において行われている過排卵刺激は、GnRHa+hMG(刺激周期)によるものが多いのですが、この刺激周期は多数の卵子を回収することが可能という面ではメリットになるうる一方で、合併症としておこるOHSSの危険性も含んでいます。経口剤のクロミフェン療法で発症することは稀で、hMG-hCG療法(ゴナドトロピン)で発生しやすいことが知られています。
ハイリスク群としては以下のものが考えられます 。
●多嚢胞性卵巣症候群
●血中エストロゲン値が高値の症例
●多数の卵胞発育症例
●黄体機能補充としてのhCG投与症例
●妊娠成立症例
卵巣機能低下症
卵巣機能低下症とは、卵巣の機能が若いうちに低下する病態です。極端な場合は、早期に閉経となる場合があり、43歳未満で閉経になるものは早発閉経と呼ばれています。早発卵巣不全と呼ばれることもあります。卵巣機能低下症だからといって、卵巣が排卵する能力を完全に失っているわけではなく、卵巣に卵胞が存在して排卵を誘発することが可能な場合と、卵巣に卵胞が残存していない場合とに分類されます。
卵孵化補助技術(AHA)
" 卵孵化補助技術(AHA:アシステッドハッチング)とは、生殖補助医療技術のひとつです。胚移植(ET)のさいに卵子透明帯の一部を開孔して着床率の向上をはかります。受精した胚は細胞分裂が進み、透明帯から脱出(ハッチング)して子宮内膜に着床します。透明帯は胚の体外培養や凍結融解、あるいは加齢によって硬化するといわれているため、この方法により卵の殻を少し破ったり薄くしたりして着床しやすくします。体外受精でグレードのいい胚を移植してもなかなか着床しない(着床障害)のような場合に行われます。 "
卵胞
卵胞とは、卵子が入ってる袋のことで、卵巣に数多く存在します。月経が始まる頃から卵胞刺激ホルモン(FSH)によって、その中の1つが成熟します。これを主席卵胞といいます。この主席卵胞が2センチ程度の大きさになると、LH(黄体化ホルモン)が急激に分泌され、排卵が起こります。これをLHサージと呼び、LHサージが起こってから24~36時間ほどで排卵します。排卵後には抜け殻となった卵胞が黄体形成を始め、妊娠の継続に必要な黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌するようになります。タイミング療法では、医師が卵胞の大きさを定期的にチェックし、排卵する時期を見極めます。
卵胞期
月経が始まってから排卵までの時期を卵胞期といいます。月経周期の前半で、基礎体温では低温期にあたります。
卵胞経計測
卵胞経計測とは、経膣超音波検査で卵胞の直径を計測することです。卵胞径18mmで排卵することが多いといわれています。
卵胞刺激ホルモン(FSH)
卵胞刺激ホルモン(FSH)とは、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの一つです。女性の場合、月経開始ごろから卵胞刺激ホルモンが脳下垂体より分泌され、卵巣を刺激することで卵胞を成熟させて、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促します。また月経周期のコントロールにも大きく関与します。男性にも分泌されており、睾丸の発育や精子の生成の促進に関与しています。
卵胞穿刺
卵胞穿刺(らんぽうせんし)とは、薬で排卵刺激を行って複数個の卵胞を形成したのちに、膣から卵胞に細い針で穿刺し卵子を回収することをいいます。体外受精の一貫として行われます。
卵胞発育不全
女性ホルモンのエストロゲンや卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が低下することにより、卵胞がきちんと育たないことを卵胞発育不全といいます。卵胞発育不全であると、同時に黄体機能不全にもなります。卵子の質がいいほど妊娠の確率は上がるため、卵胞の発育を良くするということは、黄体ホルモンの分泌を助け、受精する確率を上げ、流産の確率を減らすことにつながります。
卵胞ホルモン(エストロゲン)
卵胞ホルモン(エストロゲン)とは女性ホルモンの総称で、女性が女性らしくあるために必要なホルモンです。性器の発育、卵子形成などに深く関わっています。

リコンビナントFSH
リコンビナントFSHとは、有効性と安全性が確認された排卵誘発剤(注射)です。遺伝子組み換え技術を用いてFSH(卵胞刺激ホルモン)が作られているので、純度が高く、均一な効果が期待できます。現在では80カ国以上で広く使用されています。
リコンビナントLH
リコンビナントLH(rLH)は遺伝子組み換え技術を用いた排卵誘発剤(注射)です。hCGの代わりに使用することで、排卵させることを期待しています。また、rLHがhCGよりも卵巣への刺激作用が長期に持続しないことから、卵巣の過剰刺激も軽減できる可能性があります。しかしながら、今のところまだ日本には入ってきていません。
流産
妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが成長することが出来なくなった場合を流産と言います。定義としては、22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)より前に妊娠が終わることをすべて「流産」といいます。妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、流産全体の約80%を占めます。流産はまれなものではなく、妊娠がわかった人の10~20%ほどでみられます。胎芽が育っているかどうかは超音波検査でわかります。
リンパ球移植
リンパ球移植(リンパ球療法)とは、流産を予防する不育症治療の一つです。流産や早産が3回以上続く場合に、夫のリンパ球を妻に移植して改善をはかります。夫婦間でヒト白血球抗原(HLA)が似かよっていると流産を繰り返すことがあり、これを同種免疫異常といいます。リンパ球移植は、妊娠前にあらかじめ夫のリンパ球を母体に投与することによって、実際に妊娠した際に遮断抗体の産出を期待する治療法です。 

ルトラール
ルトラールとは、黄体ホルモン(プロゲステロン)を人工的に合成した薬品です。黄体ホルモンとは、月経周期の後半にあたる黄体期や妊娠中に、黄体および胎盤から分泌される女性ホルモンです。子宮内膜を増殖させるなど、妊娠の準備と成立にはたらいたり、乳腺の発育、乳汁の分泌を促します。黄体ホルモンの分泌が足りないと、黄体機能不全による女性不妊症や切迫流産・早産、習慣性流産・早産、月経異常、機能性子宮出血などをおこします。ルトラールは、こうした病気の治療に用いられます。長期的に服用をした場合、体温の上昇、食欲の増進及び、体調不良などの副作用があります。ホルモンのバランスをコントロールする目的がある事から、ルトラールの服用に関しては、服用期間や周期などの指導を受け、正しい知識を持って服用する事が重要となります。

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