妊娠の成立を左右するホルモンのはたらき
妊活を進める中で「黄体機能不全」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。黄体とは、排卵後の卵胞が変化したもので、女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。
このホルモンは、妊娠の成立と維持にとても大切な役割を果たしています。排卵後、子宮内膜は黄体ホルモンの働きによって厚く、ふかふかに整えられます。これは、受精卵が着床しやすくするためです。また、妊娠が成立した後も、黄体ホルモンは妊娠初期の子宮を安定させるために欠かせません。ホルモンの分泌量が不十分だと、着床しにくくなったり、妊娠の継続が難しくなることがあります。
黄体機能不全とは、黄体ホルモンが十分に分泌されない、あるいはその作用が弱いために、子宮内膜が適切に育たず着床が困難になる状態をいいます。原因にはストレスや過度なダイエット、加齢、排卵異常などが関係していると考えられています。
主な症状とサインとして、生理周期が短い(特に排卵から次の生理までの期間が短い)、基礎体温の高温期が短い・不安定、不正出血がある、なかなか妊娠しないなどが挙げられます。
黄体機能不全は、排卵期以降に血中のプロゲステロン濃度を測定することで確認されます。基礎体温表や超音波検査と併用して、ホルモン分泌のタイミングや子宮内膜の状態を総合的に判断します。治療では、排卵誘発剤の使用や、黄体ホルモン製剤の補充が一般的です。また、生活習慣の見直しも治療の一環として重要です。
黄体機能不全は、正しく診断し、適切に対処すれば改善が見込める不妊原因のひとつです。「何となく基礎体温が安定しない」「妊娠しづらいと感じている」といった方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
妊娠に必要なホルモンのバランスは、身体からの大切なサイン。自分の身体のリズムに耳を傾けながら、少しずつ一歩を踏み出していきましょう。
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