
受ける?受けない?妊娠中に知っておきたいワクチン情報
秋から冬にかけて、インフルエンザや風邪などの感染症が流行する季節がやってきます。妊娠中の体は、普段よりも免疫力が低下しやすく、感染症にかかると重症化するリスクもあるため、予防のための「ワクチン接種」は重要な選択肢の一つです。
ですが、「本当に赤ちゃんに影響はないの?」「副反応が心配…」と不安を感じる方も少なくありません。今回は、妊婦さんに推奨されている主なワクチンについて、それぞれの特徴や接種のタイミング、安全性について解説します。
■ インフルエンザワクチン
妊娠中は免疫のバランスが変化しており、インフルエンザにかかると重症化しやすいことが知られています。特に妊娠中期~後期では肺炎を併発することもあり、注意が必要です。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチン(ウイルスの力を弱めたもの)で、安全性が高く、妊娠時期にかかわらず接種が可能です。また、接種によってできた抗体は胎盤を通して赤ちゃんにも届き、生後数か月間、赤ちゃんを感染から守る効果も期待されます。「ご本人と赤ちゃんを守るための選択肢」として多くの方に推奨されています。
■ 百日咳ワクチン
今年2025年は春から感染が大流行している百日咳。日本では一般的に妊婦さんへの百日咳ワクチン接種はまだ広く普及していませんが、欧米では妊娠中の接種が標準的に推奨されています。百日咳は生後早期の赤ちゃんにとって命にかかわる感染症であり、特に生後2か月未満の赤ちゃんはワクチン接種ができないため、母体からの抗体移行が重要になります。
日本では百日咳含有の3種混合ワクチンがあります。妊娠中期以降、27~36週頃に接種するのが推奨されており、安全性についても多くの研究で問題ないとされています。
■ 新型コロナウイルスワクチン
妊婦が新型コロナウイルスに感染した場合、早産や重症化のリスクが高くなることが指摘されています。そのため、妊婦へのワクチン接種は推奨されています。
現在流通しているワクチンは不活化やmRNAタイプで、妊婦さんにも安全に使えるとされており、妊娠初期を除き、医師と相談の上で接種を受けることが可能です。
「ワクチン=絶対に受けなければならないもの」ではありません。
副反応への不安やご自身の体調・背景から、慎重に考えたい方もいらっしゃると思います。そうしたお気持ちはとても自然なものです。
ワクチンにはメリットもあれば、副反応というデメリットもあります。
だからこそ「正しい情報を知った上で、ご自身で納得のいく判断をしていただく」ことが大切です。妊婦さんご自身の体調や妊娠週数、流行の状況など、不安がある方は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してください。
正しい知識をもとに、安心できる選択をしていきましょう。

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