院長ブログ『梅毒感染者が過去最多となりました』
日本における梅毒感染者は、2010年頃より増加しており、先日14日に国立感染症研究所は、今年の感染者報告数が7134人になったと発表。過去最多となりました。
国立感染症研究所ホームページのIDWR 2021年第47号<注目すべき感染症> 梅毒によると
男性は20〜54歳の年齢群が多く報告されており最も多い年齢群は25〜29歳。
女性は20〜34歳の年齢群が多く報告されており最も多い年齢群は20〜24歳。
先天梅毒は19例が報告されたとのこと。
増加は全国的にみられ、東京都と大阪府の報告は特に多いという。男女の異性間性的接触による報告が変わらず増加傾向にあり、また男性同性間性的接触による報告も増加しているそうです。
東京都感染症情報センター
大阪府感染症情報センター
大阪健康安全基盤研究所
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌の感染で、この菌の特徴は、らせん状形態、グラム陰性であり、活発に運動し、自然界における唯一の宿主はヒト。宿主がいなければ数日も生きられません。
感染経路は主に性行為・オーラルセックスにより、生殖器、口、肛門から感染、皮膚や粘膜の微細な傷口から侵入し、進行によって血液内に進みます。よってコンドームを使用しても完全に予防できるとは言えません。オーラルでも感染することを覚え、関係を1人に絞るなど予防することが大切です。
他にも母子感染があり、これは流産や生まれつき梅毒になる先天梅毒に赤ちゃんがかかってしまう可能性があります。早期発見、早期治療が大切で、この母子感染を防ぐために母子保健法で妊婦の梅毒検査は義務付けられています。
梅毒は第1期〜第4期に分類され、第1期と第2期が感染しやすく、第1期の最初の数週間は抗体発生前で、検査において陽性を示さない、また第1期と第2期の症状が全く出ないこともあるので注意が必要です。
梅毒は感染後約1週間から13週間で発症しますが、皮膚や粘膜に発疹が出ても、痛みもなく、未治療のまま数週間で消えてしまうため、無症状のまま人に移したり、移されるという危険があります。
梅毒の抗体ができるのは、感染から約3週間後です。それ以前に検査をしても陰性となるので、安心しないことです。
このように第1期は見逃されることが多く、第2期になり医療機関(皮膚科、性病科、泌尿器科、婦人科)を受診することもよくあります。
梅毒の治療はペニシリン系の抗菌薬を投与して治療を行います。投与期間は第1期で2〜4週間、第2期では4〜8週間、第3期以降は8〜12週間。ただし、ペニシリン系抗菌薬に対してアレルギーがあるなど使用不能の場合は、別の抗菌薬などを使用します。
抗生物質の発達により第3期や第4期に進行することは殆どなく、死亡する例は現代においては稀です。
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